昭和の風林史(昭和五八年五月十日掲載分)

小豆の買いが判りやすい

為替絡みの商品は難かしい。時期的に総弱気の小豆を強気していこうと思う。

小豆の人気は弱い。実需不振、在庫圧迫という頭重い材料が尾を引いて、しかも産地の天気がよろしい。

播種もそれだけ早くなる。

だからこの相場買えないというのは至極当然であるが、相場というものは至極当然が当然でなくなる。

天気というものは60日ぐらいで変化する。今までが順調すぎたから、恐らく発芽→生育の時期にきてこの反動がくるだろう。

いま、安い小豆を強気する人は本当に減ってしまった。イソップ物語の狼と少年みたいに、なん回も買ってだまされてきたから買う気にならんのも判る。

まあ、それはそれでよいわけで、われわれはあの頃弱気を通してきたから、逆にこのあたりから買う。

買うといっても安いところ、安いところを拾っていく。日柄の面から必ずなにかあるはずで、なにかのキッカケがあれば、人気の面で様相は急変する。それを待っておるわけだ。

輸入大豆は円高とシカゴ呆調で売られたところに投げが出た。

円高はこれは流れだから仕方ない。更に高くなるトレンドの中にある。

相場に気やすめは通用しないが、余程シカゴが暴騰しない限り穀取輸大は買い方敗勢。

考えてみたら一月10日から四月11日まで随分上げている。くたびれた相場だ。

ゴムは円高で安い。期近限月は突っ張っているけれど在庫もゆるやかにふえている。

商社筋が高値?みになっているのと、取引員自己玉も逆境にあるため、期近限月をひねってくる。しかし流れ(トレンド)は下向きである。

このゴムも一月大発会からの日柄食いを見ても判るが、相当に疲れが出てきた。下げる時はS安ということになろう。

●編集部註
 東京ゴムはこの年の1月から押しらしい押しもなく上昇を続け、一度3月に急落後急騰。4月にダブルトップをつけて修正局面に入った。常識的には売り基調と見る。
 しかし、相場の世界は江戸川乱歩が言うところの「現世(うつしよ)は夢、夜の夢こそ真」の世界。5月に修正を完了した相場は8月に向け一本調子で上昇波動を形成する。
 と、日足を見ただけでここまで語れるのだが、如何せん商品相場は限月制なので、一代足で考えると、ここまでのような記述通りに展開するとは限らない。更に、ここにINRO(国際天然ゴム協定)が加わって来るので取引参加者の苦悩たるや如何ばかりか。