昭和の風林史(昭和五八年五月六日掲載分)

輸大に厭きて小豆に戻る

輸大相場に厭きがきている。小豆に活力が芽ばえてきた。ゴムは戻りを売ること。

夏立ちぬ。八白土星年の八白土星月に入る。これよりの相場は二日新甫月と重なって荒れようきつし。

シンガポールのゴムが納会。

ゴムはロンドンも産地も値崩れだった。

取り組んでいない10月限の下放れがきつかった。

ゴム先限引き継ぎ線は二本のツノ型M字天井。そしてこれが垂れてきて、小戻したあとの下げは左右同型中央に手ありではないが下げるなら二三五円(先限)あたりに落ちる姿。

すでにこのゴムの相場は丸四カ月を上昇して強材料のすべてを織り込んだ。

そしてさしもの売り気も高値で踏まされ、今では買い人気になったところ。

相場は人の気の移り変わりとはいえ皮肉にも天井したあとの下げを押し目買い人気で食いついてくる。

これ即ち高値おぼえ。相場で最も戒めなければならない値頃観である。

小豆は安ければ先三本買っていくのが本筋。

この買っていくというのは強材料があるから買うというのではない。

相場道奥の細道。総悲観、総弱気の裏を行く。

癸亥(みずのとい)正月甲の年の相場は『水気の移りにして即ちこれ老水なり。老水大陰底として春秋往来するも大高下なく、安回りの順にて大底出す』。

六甲秘伝書にそう書いてある。老水は廃水である。

知らず知らず皆弱気になる。そうなると相場は誰が売ろうと下がらない。いま相場は「静にして事極まり」の段階だ。ゆっくりと玉を仕込むところ。

輸入大豆は円高・シカゴ安で小甘い。

人気面は気迷いである。

決め手になるものはないが、来週あたり活力ある相場展開になりそうだ。

アメリカの大豆作付け状況や天候などがシカゴ相場を神経質な動きにする。

●編集部註
 昭和五八年のこの時期の記述も黄金週間終了後である。この頃は「祝日と祝日の間に挟まった日は休日とする」という、オセロゲームのような法律がなかったので飛び石連休という表現があった。
 この年の4月に東京ディズニーランドがオープンしており、開演直前の2日間、所在地である浦安市の市民全員を無料招待するというプロモーションを敢行する。
 オープンは4月15日。この年の黄金週間には来場客で溢れ、5月23日に入園者は100万人を超え、9月5日には500 万人、翌年4月には10 00万人を突破。あれから37年、平成、令和となっても客足が途絶えない。