昭和の風林史(昭和五八年三月八日掲載分)

前二本の売り玉火だるま

輸大前二本、押したらすかさず買う事。売り過ぎ玉は火だるまで踏み上げる。

輸入大豆は三、四月限の売り玉が捕まって、これはこのまま買い屋が、運鈍根の三文字で、無策の策のなにもせずとも勝手に弾けてくる格好。

大穀二番限。売りも売ったりという建玉が目立つ。この玉が、どの水準で売ったものかは、手口と取り組み表の分析を続けている人なら判るはず。

期近逆ザヤ高いと、スクイズだ、スクイズだ―と、わけもわからず騒ぐのがいる。言葉に気をつけろ。

スクイズというのは、アッと気がついた時には、もう手遅れという予想もしない結果が出ることを言うのだ。納会一カ月も、二カ月も前からスクイズだ、スクイズだと騒がれて、なにがスクイズ。

そういうのを、叩き過ぎの反動という。カラ売りの反動。なにがスクイズだ。もし仮りに、玉締めだというのなら判る。

しかしそれを言うなら、オーバーヘッジや恫喝的売り叩きをも、声を大にして言えといいたい。

今のは玉締めでもなんでもない。一市場に限っているわけでない。全市場前二本が、叩き屋の叩き過ぎによる反動現象である。

サヤにしても当限・二番限は順ザヤだ。

二番と三番の逆ザヤは、買い屋がつくったものでない。売り屋が自らそうしただけだ。

期近二本といいたいが前三本。総踏み上げがあってもよい。

それは中豆市場からの離脱である。

上場以来の最安値を売り叩いた咎めが出なければ相場にならん。

先三本、これは今年の天候次第。シカゴと円相場次第。

大底の入った相場は天井打つまで上に行く。

そのことさえ判っておれば、方針自ら一本の道しかなかろう。

●編集部註
 スクイズを巡るこの文章を読んだ時、筆者は「日本の動物園で初めて間近でライオンを見た」とアフリカ出身のタレントが話す場面を思い出した。
 そのタレントは、真面目な顔でこう続ける「だって、向こうでライオンを間近に見た時は喰われて死ぬ時だもの」と。
 些か盛っている話だとは思うがジョークとしてはよく出来た噺である。
 ブラックジョーク、捻りの効いたジョークというものが市井から絶えて久しい。昔はタモリが眼帯をして各所で暴れまわていたと20代の人に語っても、にわかに信じてもらえない時代になった。
 言い方を変えれば、何事も無知で馬鹿で半可通である事が恥ずかしく、もっと謙虚に研鑽を積んで、洒脱に洒落の分かる人になろう、という時代ではなくなったと言える。