昭和の風林史(昭和五八年二月二八日掲載分)

ふりまわされてくたくた

シカゴ期近崩れにもかかわらず輸大は堅調ということは円安の予想とシカゴ離れか。

二・二六相場乱調。金暴落。シカゴ大豆棒下げ。ゴム安。生糸急伸。小豆高。輸大安。

シカゴ大豆期近は下げに勢いがついているから五㌦60あたりまで早い格好。

穀取はシカゴ離れ。IOМ大豆に比べて中国大豆は非常に安い。資力のある信州の味噌メーカーが中豆を纒めて手当てしている。

中国大豆の成約は20万㌧を越えるかもしれないが、入船は半分にも達せず、入船遅れや、あとの商談途切れなどみていると、中国は売り過ぎたのでないか。

押したり突いたりの相場だが、期近から締まってくるあたり、見渡す限り皆弱気の中で三月~四月にひと相場の期待が持てる。

一般大衆は、もう買い玉の苦労はかなわないと両建になってきた。

大阪五月限など日足六本連続陽線。

下に千円は下げようがないが、上に千円はあり得るだけに、安値を叩いた売り玉のほうが、気持ちが悪い。

小豆相場はマバラ大衆売りの玄人買い。

買い煽りめいた手を振って小口の煎れを誘う。

出荷調整で俵が読めているだけに、売り方不利はまぬがれず、しかも先二本が天災期限月だけに、二月中行ったりきたりしてダンゴになった八千円相場が九千円抜けとくれば、辛抱できない踏みがでよう。

週末は一種の踏み上げ線である。

しかし今の取り組みでは人気化するはずもなく、触らぬ小豆にたたりなし。
●編集部註
 この当時のチャートを見ると、鵯越の逆落としの如き罫線をよく見る。
 東京金暴落はNYの影響。これは当時の日足を並列で見ると判る。
 今となっては、なぜこのような崩落相場になったのかがよく解らない。ただ、テクニカル分析に明るい人間が両相場を見ると、この下げが所謂「異市場間弱気ダイバージェンス」を伴って下げているという点、それ故にこの高値圏が、何らかの節目になっているという点は理解出来るかと思う。
 この下げで確実に地獄の一丁目一番地に足を踏み入れたであろう人物が一名、筆者は想像出来る。金のペーパー商法で社会問題化した豊田商事の創業者、永野一男である。
 金価格が下がってているのに「純金ファミリー契約証券」の価値が上がる筈がない。この時解約すれば儲かった人もいた筈だが果たしてキッパリと解約出来ただろうか。