昭和の風林史(昭和五八年二月二六日掲載分)

大衆が降りたあと大きい

輸大市場の流れが変化している。大衆買い玉がやれやれで降りたあとが大きいだろう。

輸入大豆はシカゴ崩れと関係ない動き。

期近限月から締る相場は怖い。

中豆、中豆で中国大豆を悲観しすぎた反動ともいえる。

あれだけ買い気の強かった大衆筋が、先二本の戻りを盛んに売ってくる。

幾度も叩かれ打たれた大衆にしてみれば、売っていくほうが楽だという気になるのも当然だろう。

中豆の入船遅れと、春節明け後の商談途切れ。そして価格引き上げムードなど、流れが変化している。

六限の八百円台。七限の九百円台が固まると、待望久しき四千円相場の幕開けとなろう。

〔1〕大衆マバラ買い玉のやれやれの逃げ、〔2〕自己玉の売り減少、〔3〕大衆の値頃観売り、〔4〕筋ものの強力買い、〔5〕安値売り玉の踏み、〔6〕強材料の出現→というコースに〔7〕シカゴ反発、〔8〕円安とくれば、市場は鳴動して熱気むんむんとなろう。

今年は(四月になってか、五月に入ってかは別として)輸大に大相場ありと鶴翼の陣を張ったわが党である。

トレンドを二百円ほど踏みはずしたが、大器晩成のための試練だった。

安値における並び陽線は、鋭角的に上昇トレンドに乗せてしまう迫力がある。

触れなば落ちん風情の小豆と書いたら立腹したかの如く切り返した小豆。

ホクレン管理相場だし、玄人という玄人みな強気だから、値を吊る気なら煽りの手を入れればわけはない。しかし、相場そのものは、活力がない。

だからと大衆が売るとワナにかかるようなものでつまらない。

市場振興策には悪いけれど、巧者筋の餌食にならぬよう気をつけなければ。

売っている人は白けたままでよいし、踏まない権利で伸びきった値を難平かけるチャンスを待つところ。

●編集部註
 そもそも、現物市場あっての先物市場である。
 本来なら市場振興策の前にやる事があった。
 コメであれ、小豆であれ、農家を育てるという事をせず、外国からの輸入を徐々に増やしていくという政策をとった結果、日本の農業は衰退し、市場も衰退している。
 客が来なければ、振興策など意味はない。
 客の少ない先物取引市場など素人には百害あって一利なしである。これは、今の東京一般大豆の日足を見るとよく分かる。
 国破れて山河在り
 城春にして草木深し