昭和の風林史(昭和五七年十一月八日掲載分)

小豆は高値高値売り一貫

小豆は人気の強いところを売るのがよい。輸大当限は結局暴落する運命下にある。

小豆の商いが、いま一ツ盛り上がらず、たった二枚か三枚のハナで小高下している。

だから少し力を入れて買う人が出てくると、いかにも強そうに見えるが、後続性がないのが泣きどころ。

今期輸入枠の発券を来春に延期して、金額も大幅に絞り込むらしい―という政策主導の価格テコ入れは、確かにそうなると強気に味方するかもしれない。

しかし、大衆人気は愈々相場から離れることも確かである。

今の小豆に人気が寄らないのは、すでにそのような政策相場の匂がするからである。ならば、政策に提灯をつけて強気(買い)すればよさそうなものだが、政策は信ずべし、されど信ずるべからず―。彼らの御都合主義にふりまわされるような相場に近寄らない。

強気は期近の三万一千五百円。期先の三万八百円あたりがほしい。

しかし自分で買って、そここまで上げたのではつまらない。鐘と太鼓と笛入りで誰かに踊ってほしい。

だが、踊るような雰囲気でない。白々と醒めている。即ち地熱がない。相場そのものに情熱がない。

なぜないかという背景と構造を考えてみれば答はすぐにでるだろう。

玄人ばかりの市場。その心は、高かったら売ろう―である。実需も低調。問屋にも力がない。投機家も貧乏している。

相場自然の理からいえば、こんなことをしていると二万五、六千円に埋没するはずだ。だからと誰もが弱気になっては下がるものが下がらなくなる。今は強気が多いほどよいのだ。

輸入大豆は強気にさせられ買った人が多いが強張るのも今月中旬までだ。

中国からの入荷も日を追ってふえつつある。先月受けた現物が売れないで困っているという話も耳にする。

●編集部註
 うるさい古参とマニアがマウンティングに走り新規を潰す典型的なパターンになってきた。もっとも、相場なのでマウンティングは当たり前だが。
 この頃、世界は西側と東側に分かれてマウントの獲り合いをしていたが、東側の内部ではソ連の書記長が急死するなど色々とゴタゴタが続いた。
 直接的な関係があったのかどうかは定かではないが、ブレジネフ書記長死去の2日後、ポーランド政府に拘束されていた自主管理労組「連帯」の指導者であったレフ・ワレサが解放される。後年、彼は同国の大統領として民主化を進める。