昭和の風林史(昭和五七年十月二一日掲載分)

三万円の小豆は売り場だ

小豆は三万円乗せを売ればよい。実勢悪がこれから出てくる。輸大の下げは深い。

小豆相場を、なんとかして蘇生させたい願いが今の買い方の気持ちである。弾みさえつけば―と力を入れて買うわけだが、環境は戻すほど、あとが悪いと思う。

小豆の11、12、1月限には高値買いの因果玉が残っている。

先二本の2、3月限は二万八千円台の売り玉が掴まった格好だが、少々高くても踏む必要はないと思う。

強気する人は行政面で外貨枠の絞り込みによる価格テコ入れが、一ツのよりどころであるが、自由化問題に絡む外貨枠は流動的で予測もつかない。

思うのであるがこの相場は実勢悪と仮需不発などで二万八千円割れ→二万七千円割れとなった時に、はじめてホクレンの棚上げなどがいわれ、そこで大底を打つのでないかと思う。

大局的なトレンドからみると二万六千円なしとしないコースを残している。

相場は、よもや、まさか、そんな馬鹿な―という値段が出て初めて天井も打ち、大底も入る。

そのような見地からいうと十月1日安値は七月19日安値に対して両足つきの二点底型であるが、七月の安値は仕手崩れ、解け合いのショックによる値段で作柄も決定していない時点だった。

という事は、あの安値は市場内部要因によるもの。

では十月1日の安値はなにか? これは豊作相場の現物実勢から来たもの。

そしてこれから先に予測される安値は需給相場における現実の実勢悪と投機家不在による仮需不発。そして現物の圧迫である。

さて輸大だが中豆成約の報で二番限S安。

煎れもでたあとだし納会の俵も読めるし、これからは飛びつき買い玉の整理場面である。

そしてシカゴが五㌦割れということになるだろう。

●編集部註
 相場は意地悪である。予測通りの相場展開になるケースは稀である。
 シカゴ大豆はこの年の10月に節目となる安値をつける。それは逆三尊の頭となっていた。
 ここに消費地市場と生産地市場の悲哀がある。為替の関係から、国内の大豆相場が上向きになるには少し時間が必要だ。
 小豆市場も10月末までは戻るも、そこが戻りの限界。下降局面が続く。
 この年の10月、つかこうへい原作「蒲田行進曲」を深作欣二監督が映画化。この作品のクライマックスは「階段落ち」なのだが、この時、東京の穀物市場は「階段落ち」の真っ最中であった。