昭和の風林史(昭和五七年十月八日掲載分)

輸大期近は警戒ラインへ

輸大は円安と煎れ高で人気は非常に強くなっているから盛りのよいところを売る。

小豆は二万八千五百円中心にジグザグして、その間に行政の方向や一元集荷の成り行き、あるいは自由化問題、次期枠など諸般の情勢を手探りするわけだが、小豆相場に対する人気が盛り上がらなければ薄商いの中での出回り最盛期だけに、産地のちょっとした売り物で相場は軟化してしまう。

いまの相場は、買う人は買って引かされているから黙って辛抱している。

売っていた人は、まだそのままか利食いして、利食い組は二万八千円割れを買おうか、それとも二万九千円台の戻りを待って、売り直すか待ちの姿勢。

気分としては、今年の二月以来、小豆の強気好きは苦しきことのみ多かりて心労続きだ。
大勢トレンドが大なだれだっただけに、買うのが好きな人は激流に、ただ押し流されてきた。

本年は六甲伝によると三月甲で安回り下げに向かうとある。そしてその相場が実現した。

取るだけ取ってきた人は、魚の尻尾まで取りにいくことはない。

二万八千円割れがあろうとなかろうと、みておくのがよい。

輸入大豆は円安で押し上げている。

これで強気にさせられると、あとがひどいと思う。

期近に対しては絶対の買いだ―という強気ばかりになった。

人気がこんなに一致して強くなった現象を警戒する。

ワンサイクル買うだけ買ったあとの反落、期して待つものあり。

円相場も反騰に転ずればあれよあれよとなろう。

生糸のほうは今月の渡し物が二千俵ないし二千五百俵という予想。

買い方が今月も受けてしまうと当限は当然高納会だろうが、来月も三千俵の渡し物予想だけに大変だ。

●編集部註
 相場が細かくなると、必然的に相場の見方も細かくなり、当然記述も細かくなる。

 玄人さん、マニアさんには良いかも知れないが、素人さん、ご新規さんにはきつい展開である。

 休むも相場だが素人はそんな格言を知らない。成績と生活がかかっている先物営業マンはせっつく。ならば、と手がけて負けてしまい、商品先物市場から退場する。

 こんな流れだろうか。

 自虐的な記述だが、事実、ここでお客様を大事にした会社は今も生き残り、大事にしなかった会社は駆逐された。

 マニアや玄人しか相手にしなかった会社も衰退していったように思う。