昭和の風林史(昭和五七年十月一日掲載分)

次は生糸と輸大が崩れる

生糸も輸大も大掃除しなければなるまい。十月は生糸売り、輸大売りが本命だ。

小豆は斬って捨てた。ウもスもない。これが相場である。

深追いせず利食い専念がよい。

秋底をどのような格好でとるのかを見たい。

投げもかなり出た。玄人筋の強弱観が根底から崩れた。相場は相場に聞けである。しばらく強弱なし。

輸入大豆は今月売り一貫。当限は逆ザヤ仕手相場、随分長いあいだ苦労してきた買い主力だけに成功してほしいと願うけれど、二カ月連続のスクイズは市場が警戒十分だけに成功しにくい。

まして10月は円が底入れ急反騰の可能性が濃い。

取引所も役所も農産物市場の仕手相場に市場管理面を強化するばかりだ。市場を破壊するような玉締めは生糸といわず、大豆といわず、限界がある。

当限締め上げでつれ高の11限、そして12限輸大は売り方針を続けたい。

10限買い仕手にしても11限売りのヘッジをしておかないと、お顔の相がひんまがるような崩れ場面を迎えた時に逃げ場がない。

輸大の10月相場は暴落。結局もとの木阿弥になる。

生糸は神戸あたり、コールのはずしが目についた。基調としては下げである。缶詰めにしてあるはずの現物が、すでに三百俵も売り屋の手に渡っている。

主務省当局は、今の生糸市場の異常性、即ち逆ザヤ、買い占め、納会一手受けを、きわめて憂慮している。七月小豆の二の舞いは避けなければならない。

小豆の崩れに関連して生糸の買いポジション組は前門に虎、後門に狼。これは大変だ。負け戦さは逃げ、逃げ、逃げの一手しかない。輸大当限買い仕手機関店も生糸買い絡みで、とにかく秋の大掃除をしなければなるまい。

生糸は前の三百円。先の五百円。下値目標。輸大11売り。小豆利食い専念。

●編集部註
 行間から、な~んにもおもしろいことがない。と読み取れる文章が逆に面白くなっている。
 この年の10月1日は、ソニーが世界で初めてCDプレーヤーを販売した日でもある。価格は16万8000円。大卒の銀行員の初任給が11万6000円の頃の16万8000円である。
 平成の御代になって、CDプレーヤーを持っていない人達が現れた。ダウンロードやストリーミングが主流で、CDはPCで聴くのだとか。そのPCも、最近CDドライブのない機種が増えた。