昭和の風林史(昭和五七年九月十六日掲載分)

小豆は九月中にドカ安が

小豆は薄商いで玉の出具合いの押したり突いたりしていてドカ安になるだろう。

黒い九月といって、なんとなく商取業界は騒然としている。もうこれ以上、商取業界違約月間にならぬようにしてもらいたい。

小豆相場のほうは、九千円割れ→八千円割れという秋底取りの大下げ前夜という無気味なところだ。

トレンドに抵抗して三万円台に買ってはみたが、すぐ下げてボックス型の線型は、二万九千三百円~九百円の中で取り組んだ買い玉のほうに、大きな負担をかけている。

このようにしておいて、二万九千円割れは日柄で一発叩き崩されよう。

なんといっても今の小豆の売りは、判りやすい。

東西取り組み合計は漸増している。軟弱地合いの中での取り組み増加現象は、ドカ安近しを暗示しているのである。

いま、ほとんどの人たちは二万九千円割れなどあると思っていない。

まして二万八千円を割るような相場など考えていない。だから面白いのだ。

落花枝に帰らずというが枯葉の散る如くサラバ三万円。はらはらと、この相場は安くなるはずだ。

ふと思い出したが、大穀事件に火がついたのが一昨年の九月12日。二年前の今時分、黒い九月で騒然だった。

二カ月前の今時分、三穀取の立会停止で大混乱。

光陰は箭(や)の如く過ぎ去る。まさしく今荒城の夜半の月だ。天上影は変らねど栄枯は移る世の姿。

生糸、乾繭市場のほうに気が行っているから、小豆の商いは薄い。少しの玉で上下動している。まあ、こんなことをしていて本格的収穫シーズンに入れば、急げ幌馬車もう日が暮れる。

●編集部註
 1982年9月16日の東京小豆の出来高は12 79枚。総取組高は1万 8661枚である。
 その3カ月前、同年6月16日の東京小豆の出来高は2949枚。総取組高は4万1994枚であったので、確かに薄商いになっている。
 ただ意地悪な言い方になるが、これで薄商いというなら今の商いはどうなんだ、という事になる。 今年、東京小豆で最も総取組が膨らんだのは3月13日の1636枚。おおよそ月イチで300枚程度の出来高を記録する以外は、ほぼ100枚以下の商いである。
 もっと酷い有様なのが東京一般大豆。口に出すのも恥ずかしいレベルの出来高と取組になっている。これでは幾らと取引所が頑張っても無理だ。
 この原因は明らかに今の政府にある。育てようという気持ちがないのだ。