昭和の風林史(昭和五七年九月六日掲載分)

輸大期近の基調ゆるまん

小豆は弱気がふえすぎて下げられんが今週高いところ売り。輸大は、さりげなく。

小豆の畑を見てきた人がいうには、悪い畑を探すのに骨が折れる―と。

作柄は好天に恵まれ、豊作人気だけに、相場に対しても弱気支配。

戻ったら売ろう、戻ったら売ろうの市場である。

このように人気が弱いのに、相場は意外と底堅い。要するに売るから下がらん相場になっている。

筆者のトレンドは今週、どうしても強いところを見せそうに思えてしょうがない。

それが、どのような材料で高くなるかは、その時になってみない事には判らん。

すくなくとも先日の安値から千円ぐらいは反発出来る力を持っている。

ただしその戻り頭は売らねばならん。

そう思っていて、その場になると、つい買わされてしまうのが相場の魔性。

ひょっとすると月末の三万円割れの安値を叩いた玉が、踏まされるのでなかろうか。

踏んじゃならぬと言い言い踏んで、目んない千鳥のやるせなさ。

輸入大豆のほうはゴールド暴騰、ドル安で小甘いけれど、下げるという相場ではない。

一気に期近七百丁を駈け登っただけに、一と息入れる階段でいう踊り場だ。

ここで息をととのえ今月中旬の山場に挑戦だが、世間様がスクイズを警戒するように持っていってはならない。

前三本は、さりげなく強気して、よい球(たま)くるのを待てばよい。

ある事情通、声をおとして、11限が本命―と。

別のある人、10限に狙いをつけておいたほうがよいよ―と。思いは同じ、若い相場だもの。

●編集部註
 本文中で登場するNY金は82年9月8日に50 9㌦で年間高値をつけ、そこから修正局面に入る。 〝有事の金〟という言葉が本格的に有名無実化されている、という事は、湾岸戦争の勃発まで待たなければならないが、この時期の金相場は、その萌芽が見え隠れして来ている。その一因として挙げられるのが東西冷戦をめぐる各国のやり取りではないかと筆者は考える。 鳥瞰的にこの時期、特に1982年を振り返ると、国際的に東西の緊張は未だ継続中ではある反面、米ソ間では6月から戦略兵器削減交渉(START)が始まっている。
 また国内外では反核・平和の世論が高まりだしていた。この時期は中東にその波が訪れ、この動きは少なからず〝有事の金〟に影響を与えたように思われる。