昭和の風林史(昭和五七年八月三一日掲載分)

輸大期近二本火柱高前夜

小豆は売られるために戻すところ。強気する手はない。輸大は前二本の火柱高絶対。

小豆は月初め反発する波動に入った。

下げ幅二千丁の半値戻しは無理かもしれないが、三分の一の三万五百円あたりは、とりに行くところ。

しかし、この戻りは次の下げに弾みをつけるための戻りで、売られるために戻すのである。

目先巧者なら、行きがけの駄賃で買うのもよいが、決して強気しての買いでなく、売らんがための買いであることを忘れぬよう。

それよりも三万四百円、五百円、六百円と引きつけておいて売るのが判り易い手である。

この売玉は、おそらく三千丁の下げがとれる。

七月19日、二万八千なにがしの安値はアッケラカンと割ってしまうだろう。あの安値は大底ではないからだ。

仕手崩れによる夏の安値は昭和52年の時も、八月反騰を見せ、あと戻した幅の倍以上を崩している。

今年も十月秋底をとりに二万八千円を割るパターンである。

人気のほうは九月上旬余程しっかりした方針を持っていないとフラフラにさせられよう。

百万人と雖も吾行かんという信念を持ち、他人様がどうあろうと関係ない。三万五百円、六百円、七百円をとにかく売る。

輸入大豆の方は、前二本が特急列車だ。

12限、1限の鈍行列車から9限・10限の特急に乗り換えるのがここまできたらご正解。

とくに当限など9月納会、びっくりするような値になっているかもしれない。

要するに、場勘攻めの踏み上げと天下泰平油断していて渡し物不足。

東京輸大も、大阪輸大も前二本、ここから千丁高という、恐ろしい結末になりそうだ。線が暗示している。

●編集部註
 本文中の〝百万人と雖も吾行かん〟とは孟子の〝もじり〟。「千万人と雖も吾往かん」という記述がある。これは「自ら省みて正しければ、敵対者や反対者がどんなに多くとも、恐れることなく自分の信ずる道を進もう」という意味であると、三省堂の大辞林に載っていた。
 孟母三遷でおなじみの孟子は、性善説の人で知られ、仁義による王道政治を目指したという。
 王道の反対は覇道であり、この2つは少し前に公開された「シンゴジラ」にもセリフで出て来る。
 一方、性善説の反対は性悪説。これを説いた荀子は孟子と生きた時代が重なる。リアルに性善説に異を唱える理論として誕生。こちらは本来の保守主義の政治思想に通底するものとして知られる。