昭和の風林史(昭和五七年七月十二日掲載分)

大阪先三本が実勢を反映

大阪小豆の先三本が今後の相場のあるべき姿を暗示している。これが実勢であろう。

規制の強化で期近限月の増証や、新規参入者の建玉絞りなど、仕手対策とは申せ、小豆市場は淋れ行く町である。

新穀先限先二本は作柄順調を反映して安い。

これが普通の姿である。

買い方は、その建玉のふくらみ具合いから納会で受けて立つしかない。

市場では、今月受けるか受けないかは、九割まで受けるとみなければならないと予測し、八月は五分と五分。それだけに、波乱は覚悟しておかなければ―と。

しかし、市場管理面で市場の正常化に業界挙げて努力していこうという、この流れは無視できない。

買い仕手が、「すべての旗にそむいても」敢えてその流れに逆らえば機関店の営業停止処分という最悪事態に直面する。

いわゆる昨今、声高にいわれだした取引員経営者のモラルという問題である。

業界が心配しているのは小豆市場の立会停止、閉鎖、上場廃止である。

過去に、北海道の凶作と仕手介入で立会停止という不幸な事態を経験している。今年は増反、豊作予想というのに、そのようなことになったら困る。

週末は大阪市場先三本が、いかにも重かった。

先限引き継ぎの引け足では去年の10月22日、11月18日安値にあと、三、四百円。ということは八、九カ月ぶりの安値に落ち込んで、他市場との価格の乖(かい)離、そして当先との逆ザヤが、異常だった。

その点、東京、名古屋は買い方の防戦きわめて頑強で、価格の平準化運動がどのように展開していくかが見ものである。

果たして天気と相場は西から崩れるのであろうか。

●編集部註
 市場に出回る価格と、先物市場の価格に歪みが生じるという事は、その市場が上手く機能していないという事を意味する。本来なら正常に機能するべく厳格に運営が対処しなければならない。
 誤解を恐れずに言うが、先物取引は〝投機〟という名の経済行為を隠れ蓑にした博打である。博打場には厳格な規律が求められる。実際に行った時目の当たりにしたが、ラスベガスのカジノは、その日に使うトランプ一枚、サイコロ一つに至るまで厳格に管理されていた。
 米国では、賭場でさえこのレベルである。金融市場は更に厳しくなる。
 逆に日本では、運営側の〝なあなあ〟が市場を亡ぼしたと見ている。近々カジノ法案が通るそうだが、このなあなあの空気が今も残っているなら、確実に失敗すると思う。