昭和の風林史(昭和五七年六月十八日掲載分)

関係穀取無策無能無責任

極度に商い細る。穀取の無策、無能に対する無言の抗議である。

『週刊新潮』24日号に〝赤いダイヤを買い占めるナゾの韓国資金五十億円〟という、六本木筋等に関する記事が、業界で話題になっている。

公明党のⅠ先生は『IQ物資の小豆が、このようなナゾの資金で買い占められ、取引所機能が社会的に問われだしたことは、ゆゆしき問題である』―と。

農水省畑振には『今月も仕手筋が大量現受けするようなら即座に小豆輸入の予備枠を出すべきだ』と、役所の上層部に実需筋が運動するもようである。

予備枠を出せば先行きの需給は失調するから、そう簡単に出せない。

しかし現在進行している買い占めが今後も続くようなら、政治的配慮があり得ないとは断言できない。

東穀は21日市場管理委員会を開く予定。

今までの流れからみると〝異常なし〟ということで終わるかもしれない―と業界は期待していない。

仕手には今月も受けさせればよいじゃないかという声もある。

買い方の正体も、こうやって(週刊誌に書かれて)判明してきたのだから、世間の目が商取業界に集まる。

結局は取引所の無策、無能が天下に知らされ、なにをしているんだ―となる。

『異常ないない言いながら、ここまで玉がふくらんで、打つ手がないから異常ない。ハハのんきだね』。

相場のほうは超閑散だ。これには業界誰もが困っている。取引所が信頼を失い、市場が不信感を持たれたら衰微するしかない。

衰微した市場の相場に強気も弱気もあったものでない。誰もが納得できる市場になるのを待つのみ。

●編集部註
 この前日、82年6月17日の東京小豆の出来高は1191枚。総取組組は4万2041枚であった。
 1カ月前、5月17日の出来高が4893枚、総取組高が3万7330枚であったので、この時の小豆相場は、商いが薄く、既存玉が宙に浮いた格好になっていると表現する事が出来よう。
 知ったら仕舞い―。手垢ががつくほど人口に膾炙した相場格言だが、この手の一般週刊誌にスキャンダルめいた記事が載ると、それは一つの相場の終焉が目の前に迫っている事を示している。
 良かれ悪かれ穀物相場は生ものであるが故に、実需目的でなく投機目的で参加した買い方は、納会でどう動くのか、果たして現物を受けるのか否かに、当時の市場参加者がみな注目している。