昭和の風林史(昭和五七年六月七日掲載分)

市場の正常化に専心せよ
 
売り店、買い店問わず取引員の自覚とモラルが問われる段階。市場正常化に期待。
 
4日三時半・東穀市場管理委員会。同四時・会員懇談会形式による小豆市場現状認識及び市場管理についての報告と自粛要請。取引員会社の経営姿勢について=取引所市場の異常時における自覚とモラルを徹底。すくなくとも小豆市場の不祥事及び市場機能破壊を避けるべく、その対策に取り組んだ。

現在の小豆市場は悪くすると小豆の上場適・不適の問題に発展する性質のものだけに関係する取引所も真剣である。

全協連会長、東穀協会長(同市場管理委員長)多々良義成氏は『取引員の(委託玉)受注態度は、取引所に対しての責任があるわけで、市場機能を自ら守るという姿勢が、いわゆる業界の信用問題につながる。そこには取引員としての自覚と責任。そしてモラルが要求される。そのことを再確認しなければならない事態については残念だ』。

主務省は『価格には介入しないが、取引所運営については重大関心事。配慮しています』。

六本木筋とみられる買い玉が別の店から出ていた。また関西の取引員に、Y組系O組と名乗るところから『火曜日から小豆の注文を出したい』と電話があったそうだ。

市場は奇々怪々である。公明党議員も『IQ物資小豆の買い占め』について調査を進めているようだ。

共産党機関紙〝赤旗〟は東穀を取材していた。

今週は産地の天候も回復して、発芽順調ということになる。作付けは意外の増反だった。それだけに青田ほめ段階に入る。

また消費地在庫は表面微増だが市場間転送など多く実質的には増大している。今月も買い仕手が現受けするという話だが、逆ザヤ、玉の偏在は放置されるべきものでないだけに相場は意外な展開となろう。

●編集部註
 相場がやくざの〝シノギ〟となっているという話題が巷間に流布してしまったら仕舞いである。
 逆にやくざ側も自陣営のお金が何処に向かったかを知られるのは嫌であろう。それでは資金洗浄にもならなければ、シノギにもならないからだ。
 この頃は、暴対法がなかった。今なら一発アウトである。彼らは今、オフショア市場で手を変え品を変え運用している。
 そういえば先月、暴対法前の暴力団と警察の複雑な闘争を描いた『孤狼の血』という映画が公開され、評判になっている。
 「仁義なき戦い」が好きな人は観た方が良い。