昭和の風林史(昭和五七年五月十九日掲載分)

暫く三千円台の庭の中で

三千円台になれてくると、やはり大底が入っているのだな―と世間様が判ってくる。

相場というものは強弱論につくのではなく勢いにつくものである。

材料は、どの程度、相場が言わせているか斟酌(しんしゃく)して考えなければならない。

買い方は三千円台、まず自分のうちの庭の中。

安値を叩いた売り玉をつかまえて逃がさぬようにすればよい。真綿で首を絞めていく。餌(えさ)も水も不用である。パラパラと煎れてくる。

買い屋は四千円だ、五千円だと、いま騒いではよくない。三千円と四千円のあいだで居場所になれてもらう。本来10日の頭から14日までの下げは五百円か七百円でよかったのである。

だからあれは叩き過ぎ。急反騰したのは、時間を取り戻すためだった。

従って三千五、七百円あたりは、予定のスケジュールに過ぎない。

これからは作付け動向と天候に関心が集まる。

値の居所にもよるが作付け増反は強材料。というのも外貨枠が絞られるし、自由化が遠のき、北海小豆主導型相場の回復が成る。

安値を叩いた売り屋にすれば、なんとも腹立たしいことだろうが、天候相場を控えている時に、あそこ(千五百円以下)を売るのが間違い。

三万円割れなどという相場は平年作以上が判ってから先のことで、相場が老境に入っていなければ、ありようはずがない。

五月6日青田底。五月14日駄目底確認Wボトム。

若い相場だし取り組み増大傾向。あとは二百円、三百円の押しを拾うだけ。

線という線みな買い線だからあわてることはない。

●編集部註
 すべてのジャンルはマニアが潰す―。
 実際、商品相場はこの典型例であったと筆者は考える。
 ただ、この世界は初心者だけで成り立つ世界ではない。本来は、マニアも初心者もどちらも楽しめるようでないといけないのかも知れない。
 今から10年くらい前ののパチンコ業界やネット取引が出始めた頃の証券業界、エンターテイメント業界なら、宝塚歌劇などがその好例なのではないかと筆者は考える。
 難しいのは、世代交代の中で初心者が成長してマニアになり、次の世代を駆逐してしまう現象が生じるという点。このジレンマに陥っているのが今のパチンコ業界のような気がする。先般、TVでパチンコの番組を見たが、設定がどう、確率変動がこうと、テクニカルな話ばかりでさっぱり分からず、少し前、注文方法がヨコ文字ばかりで分からなかった当業界の事を思い出してしまった。