昭和の風林史(昭和五七年五月十三日掲載分)

すべて順調予定のコース

日足二段上げに向かう。押すべきところで押す相場は冷静な証拠。売り屋は熱くなる。

小豆は買い方の、はしゃぎ過ぎに水をかけた格好。相場の敵は、むやみに喜ぶな―。

急上昇幅の五分の一。四分の三。三分の一。二分の一という押して止まる節々がある。基調出直りとみる以上、(1)安くても商いの薄い節であれば心配せんでよい。(2)押してきて売り屋のトークが熱くなるようだと必らず急反発がくる。(3)トレンド調整で今後も上伸しすぎると押し目を入れて時間待ちをする。(4)中国小豆商談に関する材料は相場とまた別の話。材料と相場は別。

この材料と相場は別というのは相場の居所や熟年か老境か、それとも青雲の志を抱く若い相場かで受け取りようが違ってくる。

今は出直り途上。若い。(底が入っている)。

それらは取り組みの内部的変化(出来高の状況)と日柄の移り。そして人気と相場水準等により底入れと確信し、その後のケイ線により出直りと判断した。

だから予定のコースで駒が勇みすぎれば、そんなにいそがずとも―と手綱を緩めることになる。

今回の押しで三千円のハードル越えは楽になった。線では押した幅の倍返しが初心者コーナー。

人気の弱いが、なによりの宝。売りたい人、売った人、それぞれ皆、踏み上げ少尉候補生というわけ。

ともあれ五百円押しで日足二段上げに向かう。そして三千五、七百円あたりで少し早いが弁当にするかとなろう。日足三段上げは日のまだ明るいうちに四千円の峠を越えての旅である。

本当にこの相場を甘く見ていると肝を冷やすだろう。レールに耳を当てれば遠くからくる貨物列車の音が聞こえよう。

●編集部註
 ここから数週間の相場の動きを先に書いておくと、3~4営業日ごとにおおよそ1000円規模の上下変動が数回繰り返される。
 一般投資家は、このような上下変動に頗る弱い。日に日に脱落者が出る。事実、4月末を頂点に、1日の出来高はジリジリと減ってくる。
 この手の相場では、プロアマを問わず胆力と資金力のある者が勝利するケースが少なくない。出来高の減少とは裏腹に、総取組高は4月末の3万1000枚レベルから5月末には4万100 0枚レベルへと1カ月強で3割増える。これは、テクニカル的に内部要因の弱気ダイバージェンスと呼べる現象である。
 実際、この相場は6月頭からしばらく保合い、そこから急落する。