昭和の風林史(昭和五七年四月三十日掲載分)

好材は後から貨車で来る

戻りではない。底入れしての大直り、新しい相場である。材料はあとから次々出よう。

投げも投げたり、出来高27日も東西二万五千枚。

これで高値取り組みだった相場が綺麗に安値取り組みになった。ということは完全に売り時代が終わった。

『強気転換は、まだちょっと早いのじゃないか?』といわれたが、すべての条件が底打ちのシグナルである。

日柄も、きっちりはまった。罫線に下値目標の値段のところと、日柄の限界地点に蛍光ペンで丸印を書いておいたところに、ビシッと節足線が入った。

ゴルフならさしずめホールインワンだろう。

ゴルフはした事がないから知らない。ボールを穴に入れるのが難かしいそうである。あんなもの、寝ころがって草の目を読まんでも、ジーッと心静かに穴を見ていたら、心眼に映る穴が、どんどん大きくなっていくからコーンと叩けば穴がボールを吸い込むはずだと、怖いもの知らずで強気だけは垂れるから、シングル級のゴルファーが辟易する。

これ即ち嫌がらせの年齢。

それより相場だが、『どこまで戻すか?』というから、相場用語に気をつけてモノをいって下さいよ―と。戻すのではない。出直りです。半値回復の三千七百円あたり、恋の丸ビルあの窓あたり。

三千百円、二百円の下の窓埋めは問題でない。

要するに大掃除が終わった。灰汁抜けた。取り組みが大変化した。日柄が十分。人気は弱い。
という事は、出直り条件すべてパスしている。

大阪九限大引二千八百五十円以上に引けたらその瞬間から大変な相場に変身。

新ポの十限買いもよろしい。買い屋は泣いている間などない。新戦場に駒を進めよ。

買い材料はあとから貨車でくる。底が入ったから天井するまで買うだけだ。

●編集部註
 数字で見るより、図で見た方が説得力があると思うので、ここは当時の小豆相場を出来高と取組高と並列で見た方が良い。 この文章が掲載された頃の東京小豆相場を見ると突出して商いが出来ている反面、既存玉が極端に減っている。これを〝投げも投げたり〟と風林火山は表現した。
 この年の4月最終週、東京市場の総取組高は3万枚を割り込む寸前であったが、この出来高を底打ちのシグナルと見たのか新規売買が増加。1カ月後の5月最終週に総取組高は4万枚を突破。これに伴い、相場は上昇トレンドになっている。