昭和の風林史(昭和五七年四月二十四日掲載分)

小豆は戻すところに来た

安値を突撃売りした玉は少々嫌な思いをするだろう。戻り十分を待って売ればよい。

大石商事の敏郎社長『本間宗久三位の伝のにわか勉強ですよ。おたくにもあるはず』と乙部さんの書棚の中から抜き出してきて『正月頃より三、四月まで天井値段の相場、五、六月のうち必ず下がるべし』これです。このあとの文句がよい。『五月十分下がる時は六月きわめて急上げなり』―どうです。

23日の朝寄りは小豆売り建のT社が利食いを入れていた。生糸戦線に兵力を移動させなければならない。T社といえば、堺支店のセールスマンが金売り訪問先で傷害現行犯で堺北署に逮捕された(22日)。強引なセールスで一一〇番され、玄関先であばれた。

小豆のほうは、きつい下げも本日24日で一応終わると思う。筆者のトレンドは目先の下限にとどいた。従って戻るところである。

各限月とも週間棒の長い長い陰線は、仕手崩れがない限り、来週あたり急反発するか、週末たくしあげる。今週の気崩れは、窓二ツあけている。

酒田五法は三山、三川、三空、三兵、三法。

三空叩き込みは埋める。窓からローマは見えないが、三ツ目の窓は御用心。

三位の伝『二ツ仕舞、三ツ十分、四ツ転ず』とある。

では風林は強気に転換したのか?と必らず電話がかかってくる。

『五月中旬より六月中の相場は急に引上ぐる時、また急に引下がるものなり。急に下げる時上も同断』。

強気にはならない。大勢は春天井→青田底。

ただ、今月の下げ幅配給分は、こんなものだとみる。

二千五百円の三千八百円圏内での小高下。弱気が有頂天で喜びだしたから少々あぶないと思うだけ。

●編集部註
 相場とは全く関係ないが、この時の風林火山はよほど『窓からローマが見える』に魅せられていたのだと思ってしまう。
 1982年のこの頃に日本で上映されている映画を調べてみた。
 まだこの頃は東映が東映まんがまつりをやっている。昔は学校が休みの頃に東宝と東映がアニメや特撮ヒーローものを集めた特別上映プログラムを組んでいた。東宝は78年に止めている。
 4月は『窓からローマが見える』以外に東宝系で「刑事物語」の一作目が公開されている。
 金八先生役で人口に膾炙した武田鉄矢が、ハンガーを武器に悪漢をなぎ倒す刑事役で活躍する娯楽作品で1987年までに全5作公開された。シリーズの中で沢口靖子や鈴木保奈美が銀幕デビューを飾っている。