昭和の風林史(昭和五七年四月八日掲載分)

お先にご免と相場は安い

誰もが怖がって売らないから、それじゃお先にご免と相場はズカズカ下げていく。

小豆当限引き継ぎ足は綺麗な〝三山型〟だ。これは相場が煙ったい。上には行かんがドサっとくるよというシグナル。
逆ザヤ解消。泣く子も黙るサヤすべりだ。
しかも取り組み減少は、いつ黒い糸を長々と垂れてもよい相場であった。
パターンは先月新ポから17日までとまったく同じ格好。
商いが薄い。買い方が買い支えた。しかし、階段を踏みはずして転落するのが見え見えであった。
現物の売れ行きは非常に悪い。三月末の在庫が数字の面で減っても、相場は無反応。四月は入荷がふえる。商社のヘッジも嵩みだした。
悪い相場である。誰かがいった。酒は白雪―。相場は下行き。悪い洒落だ。
どこまで下げるか。それは判らん。二段上げの頭が抜けない三段上げを完了した。四月1日馬鹿天井で春の相場の終わりを告げたことだけは確かだ。
従って下値は六月まで深いと見たほうがよい。
前にも書いたが昭和47年型に類似している。三月甲の安回り年に出る姿。
二千五百四十万㌦に予備枠千六百二十万㌦がついた事で買い方は夢も希望もなくなったのが本当だ。
人は年を取るだけでは決して老けないという。理想を失った時に老いる。
相場師も一緒だ。追証追証の場勘が攻めても、夢と希望のある限り、どんな苦労もいとわない。
千六百二十万㌦の予備枠は頭の上に石を乗せたようなもので夢破る。
しかも買い方は無理をしてきた。流れに逆らうこと強引。そのとがめだ。
四月、五月チンタラ節。買い方にとっては切ないところだ。夜が明けたら安い。誰もが怖がって売らんから値は消えていく。どこを売っても大丈夫。
●編集部註
 げに恐ろしきはサヤすべり。金なら受ければ良いが、砂糖なら腐らないのでこれも受けて良いだろう。しかし、穀物はそうもいかない。買い方は追い込まれている。
 限月の端境期に際して、筆者の知る百戦錬磨の相場師は「大局が間違っていないという信念があるなら、目を瞑って限月を変えろ」という指導を受けた事がある。
 この〝大局が間違っていないという信念〟という文言がポイントである。
 まさに「相場読むより日柄読め」。長期相場サイクルをしっかり把握しておく必要がある。