昭和の風林史(昭和五七年三月十一日掲載分)

前門に虎、後門に狼の図

時間は食ったが頭のまるい春天井を確認。押しでなく崩れに移れば足が早くなる。

動かぬ相場は動くのである。ペナント(三角旗)の離れたほうにつけで小豆は三角保合いを下に放れた。

それは時間の重味に耐えられなくなったからだ。

現物の北海道小豆も、買い物なしで値崩れしだした。手亡がひと足お先に悪さを知らせていた。

どなた様が買おうと相場は人為の及ぶところにあらずで、下がる時は下げるのである。

長かった高値保合いだけに、売り玉やれやれの利食いが出る。このあと値頃観で買ってくると取引員自己玉買いが売りに変化していく。

それとも、一度は利食いして、もう一度売り直してくるか。

大阪四千四百円(先限)は半値押し地点。これ以下は買いだというが。

いやいやどうして、三千八百円。三分の二押し、彼岸底でなかろうか?とも。

テクニカル面では買い目がない。ファンダメンタルズも次期枠の大型通常発券で、先行き需給は緩みだす。作付け面積もふえそうだ。輸入通関実績は毎月五千㌧平均で半年過ぎようとする。彼岸用の手当てはとうの昔に終わって節句の分も手当て済み。

仮りに自由化が阻止できても輸入枠は大幅にふやさなければならず、強気するのは前門に虎、後門に狼。

さすが東京自己玉は売り増だったが、関西自己玉は打たれた。

強気は本年の天候も凶作型と期待。だが、それを買うのは春天井した相場が底を打ってからである。

相場とは人気の裏を行く。誰も彼も皆強気で売り方マバラの烏合の衆だが、衆は愚にして賢という。

軟が硬に勝ち、愚が賢に勝つのが相場社会。

この下げは押し目なのか崩れなのか。崩れだとすれば足が早くなる。

●編集部註
 1982年の年表を幾つか見ると、「惑星直列」という文言がこの時期に登場する。そういえば、この頃に特番が組まれていた事を思い出す。天変地異の発生を危ぶむ内容であったと思う。もっともこの頃はノストラダムスの大予言や、川口浩探検隊シリーズがゴールデンタイムで流れていた。全体的な内容は推して知るべしといえよう。
 惑星が一列に並んだから何かが起こる、と考えるのはナンセンスだ。逆に何かが起こった時にどんな天体配置であったかを調べるのが筋であろう。実際、金融アストロロジーはそういうものである。
 金融アストロロジーはサイクル分析の一環であると筆者は考えている。予言でもなければ、占いでもない。