昭和の風林史(昭和五七年二月一日掲載分)

上弦の売り急所地点接近

四千八百円~五千二百円は急所。このあたりから売り勝負をかけていくところだ。

小豆相場は、罫線なら買いだ―と強気がふえたところ。

仕手筋が積極買いの姿勢だから、船は太平洋に出たという。

しかし(1)順ザヤ化した。(2)昨年10月底、11月底からの日柄経過。(3)消費不振。(4)春相場は淡雪で短命に終わる―など、まだ本格的強気段階には早い。

昨年は一月29日→二月4日二千二百四十円安。

すぐ切り返しておいて二月16日→19日アッという二千二十円安。

これもすぐに切り返したが二月24日→三月9日二千八百九十円安(以上大阪)

という波乱で人々はチャブついてしまった。

要するにこれが春特有の相場波動である。

玄人筋は、六本木筋も買い玉を降りつつある。これは素人張りだ。押したら買おうというのだろうが、このような時は押さない。

四日市筋にしてもやれやれで、降りたところを桑名が買った。大相場師と小相場師の違いがここにある。

大相場師は、やれやれの利食いなど絶対にせず、流れ変わると見るや、乗せ乗せでいくのだ―と。

さて、どうだろう。件(くだん)の玄人は三万八千円直行の大相場だという。僕は節分までの命と見る。月末高という見方、あれが当たっていた。どこかで札(ふだ)が一枚嚙んだ。あの見方でよかった。

月末高→二月上旬安、これは去年と同じパターンである。

目先、先限(大阪)四千八百円抜けはトレンド線の上弦の急所。

その上は五千二百円どころの窓埋め。ここは中段モミの倍返し地点でもあり一大急所。

すでに日足50本から70本、10月底から三月(つき)またがり60日を経過した。

狂信的強気論や熱狂的強気説が多くなっただけに冷静に見ていきたい。

●編集部註
 相場読むより日柄読めと古来から言わる。

「底打ちするにはまだ日柄が足りない」

「上げの日柄がもう残り少ない」

新参者時代、正直この言葉の意味が良く解らなかった。
 
僭越ながら相場についてお話させて戴く機会がある昨今、迷ったらローソク足を数えると光明が見えてくる時がある、と言う事にしている。

 当時の東京市場は先限つなぎ足で前年11月頭の安値の前後も含めて3点底の線形。81年11月19日の安値から日柄を数えると、翌年2月10日の年間最高値までは59営業日。

 途中12月に修正相場が登場し、2段上げの波動の観点からもこの時の高値は警戒水域に入っている。

古来より「日柄と波動と値幅」は、相場分析で重要な要素である。