昭和の風林史(昭和五七年一月二十一日掲載分)

買い方は持久戦で待機中

崩れようがない。押したところは買いたい人気である。長い目で見ていくところ。

小豆の証拠金を下げてもよいのでないかという声が多くなった。

冬山眠るが如き市場に対しての焦りが出てくる。証拠金の増減は各種規定もあるが取引所の判断であり、会員の意向が反映されて決まるものである。

商いが出来ないから証拠金を下げるという考え方は定見がないという人もあるが、取引員としては、商いがしやすいほうがよい。

まして穀物が主な取引員のセールスマンは、小豆の証拠金引き下げを千秋の思いで待っている。

相場のほうは在庫がふえてくる傾向の時期だけに押しても不自然でない。

下げたら買いたい人が多い。一体どのあたりまで下げたらよいのか。二千八百円あたりなら買いたい。

もう四千円は抜けないのか。抜けない事もなかろうが、支援材料がない。

よく買い方の顔ぶれがよいなどというが、幾ら顔ぶれがよくても力がなければ雛節句の人形である。売り屋がいないということもいわれるが、いないのではなく目に見えないだけである。

思うのであるが、今の小豆相場は長い目で見ていくところである。

その考えの骨組みは次元の違うところで操作されている輸入枠の調整と、官民あげて相場を崩したくないという総意であろう。これは輸出する側の中国も台湾も同じ考えだと思う。

そしてそのような現象を見て取って肌で感じているのが相場師である。

だから今年の小豆相場には、えたいの判らない投機資金が流れ込んでくるだろうし、安ければ幾らでも買いものが入る。その事を相場が一番よく知っている。

●編集部註
 本文に〝証拠金の増減は各種規定もあるが取引所の判断であり、会員の意向が反映されて決まるもの〟とある。
 賭け事と商品先物取引を同列で語ると怒る人がいるかもしれないが、オッズや掛け金の選定がダメダメな賭場に未来がないように、目先の意向に縛られて相場を張る人の目線に立って臨機応変に対応出来なかったツケを、我々は今現在支払っているのかも知れない。
 ちょっと前まで、TOCOMの注文方法はアルファベットの羅列で最悪だった。取引する者の事など考えぬ、外国かぶれの取引経験の浅い似非相場ヲタクが考えたとしか思えない酷い物だった。
 現在、少しずつ商品先物取引側が〝お客様〟に向き合い始めている。
 注文もより明確になり、限月なしの銘柄も登場。相場自体も長期サイクルの観点では大底を打ち新サイクルに入っている。 未来は明るいと思う。