昭和の風林史(昭和五四年十二月二十二日掲載分)

消化し切れぬ大材料!

OPEC総会では強硬派と穏健派が鋭く対立、原油の統一価絡調整は失敗に終った。
日本の場合、長期契約価格(FOB)の加重平均は一バーレル当たり約二五・六㌦となるが、産油国強硬派の、”低生産、高価格〟戦略により、当然、スポット原油の比重が高まるだけに、石油業界では「憂慮せざるを得ない野放し状況」と深刻に受け止めている。

日本はより輸出に傾斜しなければやっていけず、来年は欧米との経済摩擦を強めることになる。同時に世界的な悪性インフレ―景気後退も間違いないところである。

輸入大豆の今年最後の納会は東京―堅調、大阪―軟弱、名古屋―暴騰の”ところ相場”となった。だが二番限以降は自然にまかすよりない不透明な石油情勢により、今こそ落ち着いている為替相場も、どうなるやら判らず、投機家もヘッピリ腰、大材料も消化難というところである。

ただ明らかな点は、今回のOPEC総会の結末により、八〇年の世界の政治・経済のうねりはより一層激しいものになろう。それが貴金属あるいは穀物など国際商品にどうハネ返ってくるか―。需給面のみから推し測れない様々なファクターを抱え込み、不気味な落ち着きの中で七九年も終ろうとしている。即ち強気、弱気のどちらも来年は二度とないチャンスに恵まれる可能性があるといえよう。

各地暴騰納会
小豆 12月限はヒネ渡し圧迫ということで、ひところ1月限三千円以上もの値開きが生じたが、その馬鹿にされ続けてきた12月限がうっ噴を晴らすかのように各地市場で暴騰納会を演じた。
実需筋にすると〝使い馴れた53年産〟ということでありヒネ見直しは新穀一本の受け渡しとなる1月限以降に少なからず好影響をもたらしそう。ホクレンは高いところはつないでくる。この厚い壁を破るのは容易でないが、”小豆そのものの価値”を忘れている様子である。売るほどに下値を固める経過になりそうだ。

●編集部註
 テクニカル、特にチャートパターンの観点では、後にチャートの教科書に出してもいい程、美しい線形を見る事が出来た。
 東京小豆は11月20日の安値を頭に同月6日の安値を左肩、翌月13日の安値を右肩に逆三尊を形成。同月20日からの反転でプルバックと見せかけて、大発会の翌営業日にギャップダウンして大きく下げる。ただそこからの反転上昇が大きかった。
 結果的にこの時の安値は上記の11月安値と79年9月の安値との間で更に大きな逆三尊の関係なっていたという事が判る。
 そのネックラインを相場は上抜けるのが80年の2月頭。その月の中盤にプルバック完了で再反騰。3月にピークをつける。