昭和の風林史(昭和五四年十二月十三日掲載分)

輸大は戻り売り 抵抗しながら安く

円相場は大底を打ったという見方でよいのではないか。輸大相場は大勢戻り売りが基調と思う。

「笹鳴や山影かぶる二尊院 池冷」

オペック総会の成り行きと米国とイランの関係、日本と米国の関係。そしてそれらが外国為替相場を、どのように動かすのか。ともかく不確実要素ばかりで商品市場は方向が掴めない格好だ。

輸入大豆相場は、円の反落で急落に歯止めがかかった。

長期的な需給の見通しが難かしいだけに、為替で崩れた輸大相場の安値を叩くことは警戒されている。

むしろ安いところは売り玉の利食いが急がれた。

それにしても相場判断を、なにに求めてよいか行き当りバッタリのような感じである。

シカゴ相場の見通し。ブラジル大豆の作況。中国の出方。国内需給。外国為替。金価格の予測。石油価格そして米国の対イラン政策あるいは日本とイラン関係、日本と米国の関係。

政治、経済、社会、歴史、さらには宗教―と、大豆の相場を考える上で、それらを無視することが出来ない。

一方、市場内部要因だが、大衆筋は、強気なのか弱気なのか―という事などあまり問題にならなくなっている。

大衆投機家は、売ってよいのか、買ってよいのか、さっぱり判らない。

取引員にしたところで判るはずがない。

商社自身でさえ、為替がどっち向いて走るのか、シカゴが下げるのか、止まったのか、まして石油がどうなるのか。これはアラーの神にも判るまい。

ただ判るのは、天井したものは底を打つまで下がる。底を打ったものは天井するまで上がる。

円は、日柄をかけて大下げして大底を打った、輸大相場は天井した。そのように見れば輸大の先のほうの戻り高値は売りだろう。

●編集部註
 こうして昔の記事を振り返り、相場という客観的な数値を検証していくうちに、おぼろげだった当時の記憶がよみがえる。
 そういえば、夕方のニュースでしきりに為替問題を伝える報道があった。

 海外ニュースでは丸い帽子を被った眼つきの悪い〝ほめいに〟とかいうおじいさんがニコリともしないで喋り、大勢の人達が建物を取り囲み叫ぶ映像が映っていた。
 振り返ってみると、よくもまあこんな為替変動で暴動も起きず世間が動いていた事に驚嘆する。

 話は変わり、この9月に世界文化社から「久米宏です。」というタイトルの本が出版された。

 彼がやっていたザ・ベストテンという番組は、この頃に放送100回を迎えていた事を知る。

 この本を読んで驚いたのはこの当時の夜の報道番組は19時と21時であったという事。22時に報道番組を始めたのは彼の番組が先駆けであったのだ。