昭和の風林史(昭和五四年十二月八日掲載分)

輸入商品が御難 しばらく円高傾向

高値に買われた輸入商品は、円高傾向で売られる段階。反対に、商いは薄いが小豆が底堅い。

「炭屑にいやしからざる木の葉かな 其角」

円は二百三十円あたりまで反発するであろう―と外国為替専門筋は予測していた。

円高は、輸入商品相場を突き崩す。

精糖、ゴム、輸入大豆が特に敏感である。

精糖は先限引き継ぎ線で上げ幅の三分の一強を押したあと、七円替を反発したが、円高の直撃と海外安。そして実需不振を映して二百二十円(大阪先限)の壁は厚かった。

ゴムも、ちょっときつい下げである。

海外情勢次第とは言うものの、上昇したあとの高なぐれで、相場の日柄がかなりかかっているだけに、円高ショックで下値が深いかもしれない。

山高ければ谷深しである。

インポーターは先限を、確信を持ったような売りっぷりである。ゴムの売りが師走相場の目玉商品のような気がする。

輸入大豆も、大阪先限五千三百円は、やはり難所だった。九月の安いところから(先限引き継ぎで)九百八十円替を上げている。

これも日柄経過による買い疲れが見えた。

大阪当限は安値四千百五十円から新値足18本で千三十円幅を上げている。

新値18本、日柄64本で、12月新ポ3日が天井。千円上げに対して、基調が崩れた以上は、上げ幅の半値五百円安も充分考えられる。

ともあれ、しばらく円高が続きそうだし、シカゴも戻り一杯の相場つきである。

いまや、まったく商いが寂れてしまった小豆であるが、他商品とは反対にどことなくこの小豆は底堅い。消費不振、産地の売りヘッジなどあるため、上値を大きく見るわけにいかない。しかし安い値が付けば買ってもよいと思う。

一日の出来高合計が千枚を割る(大穀5、6日)昨今である。それも時代の流れであろうが、穀取関係者は輸大が出来ているから、小豆不人気を、それほど深刻に考えないのかもしれないが、小豆市場不振の原因などを検討し、手亡の市場みたいにならないよう努力して欲しい。

年内余日、暖かい年の暮である。

商売によっては、この暖冬が、なんとも困ったところもある。庶民生活にとってはオーバーコートも不安だし、灯油の消費も少なくて済むから有り難いわけだが、こと商売ともなれば、立場、立場で随分違う。

それがお天気の事だけに神に祈るしかないようだ。

●編集部註
 私事ながら、僅かながらこの自分の記憶が残っている。007ムーンレイカーが公開されていた。ジェームス・ボンドがロジャー・ムーアの頃だ。