昭和の風林史(昭和五四年十月十二日掲載分)

仕掛け場待ち 投機家目下冬眠中

投機資金は動きの激しそうな市場に移動する。値段は別として、商いのほうは陰の極を思わせる。

「悔ゆることばかりぞ石榴熟れそむる 野雨」

小豆相場は動きがないかというと、そうでもない。動いてはいるのだが、投機筋にとっては仕掛ける魅力がない。

商品の先物相場の投機家は、その商品を、生産したり、消費したりするわけでないから、是非その商品を売らなければならないとか、買わなければならないという事はない。先行き高くなりそうだと思うから、高くなるだろうという予測の可能性で思惑する。

先行き安くなるだろうという予測が立てば、売るわけだが、なにがなんでも売ったり、買ったりしなければならないわけでない。

従って、先行きの価格変動が不透明な場合は、売りもせず、買いもせず関心を持たない。

今の小豆相場は、大きな上値が出る可能性がない。また同時に、大暴落していく可能性もない。

だから、投機の対象にはならない。

一応二万三千五百円と二万四千五百円の、あいだにおける小高下だろうという予測は、売買手数料の事を考えなければ、千丁幅あるじゃないか―となる。

強弱ならよいが、証拠金を積んで建玉するとなれば二の足を踏む。

まして、高金利の時代に現金証拠金を動かぬ相場に張り付けておくわけがない。
これが逆に、投機妙味が大きい市場なら、高金利でも借金してでも思惑が集中する。

相場の動きが小幅なら、建玉枚数を大きくすればよいわけだが、人気のない市場は一場六限月の出来高三、四十枚という情けなさでは、いよいよ手を出す人が減るわけで、男は度胸、女は愛嬌というけれど相場は、なんの相場でも人気がなければ値打ちがない。

●編集部註
 海の向こうではNY金が未曽有の大暴騰を続けている。誰もがここで天井をつけたと思っていた。

 しかし、この年の8月にカーター大統領の指名でFRB議長に就任したポール・ボルカーが打ち出した金融引き締め策、所謂ボルカー・ショックの影響が市場に影響を与えだす。10月、NY株式市場は短期間で10%下落。FF金利はこの年の平均が11・2%。これが2年後には20%になる。産業稼働率は低下し、失業率は上昇した。

 これに対し、NY金価格は2カ月で鯉の滝登り相場になる。日本ではブラックマーケットが横行。お役所も手が打てない。 

 そんなモヤモヤとした世情の中、「西部警察」が始まったのがこの週末であった。初回は装甲車が銀座や霞が関を走り回っていたが、回を重ねるごとに爆破シーンがエスカレートしていった。