昭和の風林史(昭和五四年九月二九日掲載分)

売られるため 敢て戻す詮のなさ

◇…市場に力がないから線は買いになっても、長続きしない小豆だ。投機筋も冷静である。

「秋の野や草の中ゆく風の音 芭蕉」

◇…ゴールドが一トロイオンス(31・1グラム) 四百㌦時代にはいった。

国際商品は金の暴騰に刺激されて買われた。

国際商品は、インフレ、通貨変動、石油価格、戦争、革命、天候等によって、たえず変動する。

◇…九月中、わが商取業界は、商い不振で意気消沈だった。

しかし10月は『天下大乱・物価不安定』をスローガンに、わが商取業界は、出来高増大の時期を迎えることであろう。

◇…相場さえ動けば、商いは必らず増大するものである。

相場が動く要因は、天下大乱時代に幾らでもあろう。

わが業界は10月、11月と出来高増大の時期を迎える。

◇…小豆相場はホクレンの買い戻しを入れて反発した。高値でヘッジしたものを、安いところで買い戻す。

ヘッジはずしは、つないでいた現物が、現物市場でさばけた場合と、現物は、さばけていないが、値頃が安いので一応利食いして、戻せばまた売り直す。

この他、ヘッジに名を借りて、売り思惑した分の利食いという、純粋ヘッジではなく多分に投機色の濃い市場利用の仕方もあろう。

◇…さて、次期ワク削減という問題も、当分ついてまわる。

しかし所詮は、相場が高くなったら売りたい筋ばかりである。

北海道の生産者も、ホクレンも、中国も、台湾も、雑豆輸入商社も高いところを見逃すことはない。

◇…また取引員自社玉ポジションも圧倒的な売りである。

従って、『小豆とは、売られるために戻すもの』と定義しておけばよい。

◇…目先的には、彼岸の入りの新月21日に安値を叩いて、応分の投げも出た。

あとケイ線は陽線が続いて反発を示したが、先限四千六百円以上という値は、ちょっとやそっと抵抗が強い。

さしもの買いの片道切符しか持たなかった投機家も、年がら年中、ヘッジャーのために犠牲になるのは、もう嫌だと言っている。

安いところは売ってもはじまらないが、五千円近いところは売っておけばよい小豆であろう。

ケイ線では、四千円中心の上下八百円圏内での動きを暗示している。が

◇…産地の日足線など見ると、いかにも大出直り型に見えるが線はそうであっても相場は別である。

●編集部註

 NY金は1980年1月に800㌦を突破する。 

この時の相場動向と天体位相の関係を調べてレポート化し、その2年後に『ザ・ゴールドブック』という本を上梓したのが、現在のMMA主宰レイモンド・メリマン氏である。
 
彼の金融アストロロジャーとしての原点は、この時の金相場にあった。