昭和の風林史(昭和五四年八月三日掲載分)

人様は夏休み 相場は水飲み場へ

小豆は水飲みに押して、あたりの様子をうかがうだろう。大勢基調は上値指向である。

「涼しさや竿にもつるる釣の糸 蝶夢」

暑さも暑し都会炎熱地獄である。

暑さをのがれて来週あたりから夏休みをとる人がふえる。甲子園では高校野球大会が始まり、ふるさとのある人はお墓参りに帰省する。

相場のほうが活発に動いているようなら心頭も滅却して暑さを忘れようが、よくしたもので、この時分は閑になる。

小豆相場は、定石に従って押し目をつくりつつある。

押し目と言うからには、また高くなる相場を意味する。だから、下げ終った地点を買わなければならない。

問題は、どの程度の下げ幅になるか。それが判ればよいが、そのような事は誰にも判らない。

ただ、黒板の前やカウンターに陣取っている人には判ることがある。われわれは、その時の人気と罫線を注意深く引いて、出来高、手口等から判断するしかない。

相場は、なぜ、ここで押すのだろうか。

当限が下げ幅の半値戻しを三百円ほど乗り越えた。相場波動の三分の一の、半値地点は急所になりやすい。節足新値(12限)で13本を付けた。やはり定石である。

人気が一応強くなり、踏んだ人も多かったし、踏んだあと高値を飛びついたりした。〝気の変わり目〟は要注意になる。

ホクレンがヘッジしたとか、三晶さんや栗田氏が買っても鈍い―というのは現象面から相場リズムの変調を知らしめるものである。しかもお天気が少しだけ回復してみたり。

問題は、相場が水飲みに押したあと、どのような弾みで、再び上昇波動に乗るかである。

押し目で、人気を弱くする事が出来るか。買い玉のふるい落しがすすむか。

作柄が、もう良くなる事はないという時点。折り返しが利かないところ。やはりお盆過ぎになろう。

序盤の駒組みは買い方優勢のうちに終った。
相場が押すのも中盤戦入りの定石である。

ポジションをどうとればよいか。

千丁押しか千四百丁押しと見て、下げがきつく買いハナが大きい節で買う。ストップ安などあれば、すかさず買いたいが、そうはいくまい。安ければ安値の売り玉が仕舞いにくる。

そうしておいて、新値抜けは、飛びつき買いよしである。その時は、多分S高であろうが、飛びつくしかない。

●編集部註

「皆さん、今が天井です」と相場様は絶対言わない。

皮肉な話だが、経験則上ど底やど天井での仕込みに成功した玉は疑心暗鬼や狼狽等で後々になって自分を責めたくなるくらいに序盤の序盤で利食いしてしまう事が多い。

相場修業は人間修行である事を思い知らされる。