昭和の風林史(昭和五十年四月二四日掲載分)

新しい局面に 買い方総懺悔へ

手亡は下げの新しい局面に入った。目標一万五百円。買い方総懺悔のとき。見切り千両だ。

「風鐸の中より垂るる巣藁かな 麻葉」

手亡の崩壊が始まった。

当限以外の限月は23日の朝寄り付きで、いずれも新安値に放れた。

ここから新しい相場と見てもよい。もちろん下に。

一万四千円台の買い玉が両建てになっている人。

一万三千円どころの買い建て。そういう玉が決断の局面を迎えた。

一万二千四、五百円の買い建て玉に追証がせまる。

お客さんは、ガタガタになったとセールスは嘆く。テレビ番組で連想ゲームというのがある。

ヒント・手亡の買い方。

答え・ガチャガチャ。

下値は七、八、九月限の一万五百円あたり。

買い玉は辛抱しても報われない。ナンピンかけても救われない。

なぜなら、崩れ落ちたあと反騰出来ないからだ。

下げっぱなし。コインロッカーにでも入れておくしかない世相を反映している。

見切り千両という。

穀物市場の畠が荒れてしまった。その結果は、期待された小豆相場の出発が、かなり遅れよう。

小豆も重い。納会は渡し物が多い。しかも古品がかなり混入されているそうだ。

期先限月にはホクレンの売り物が頭を抑える。

取り組みが薄い。新規が出にくい。

小豆も先限六千五百円以下の値。時に三月20日(彼岸)瞬間的につけた安値近辺を洗いに行くかもしれぬ。

小豆を買うのは、まだ少し早い。手亡の終戦処理が終わってからでも間に合うだろう。

市場が総悲観人気に包まれねば買い妙味はないのだ。

小豆も判りやすいが手亡はもっと見え見えだ。

ミシガンピービーンズが値下がりしている。商社は定期利用で高収益を挙げることが出来る。

極端な弱気は手亡相場の一万円割れを予想している。怖いのは、そういう値段が無いとは言えない環境である。とりあえず、一万一千円割れ。一万五百円あたり。

二千円以上で取り組んだ玉が、なだれ現象を起こすのである。23日の寄り付きから新しい相場に入ったと見るゆえんだ。

まだ間に合う下り最終列車。汽笛残して赤い尾灯が消えて行く。

●編集部注
 この年のこの月、サイゴン陥落をもってベトナム戦争は終結する。
 
この時期、ベトナムに手亡の崩落を重ねて見た人はいたと思う。ただ、相場の終わりは新たの相場の始まりでもある。

【昭和五十年四月二三日小豆九月限大阪一万六九〇〇円・九〇円安/東京一万六九三〇円・七〇円安】