昭和の風林史(昭和五十年三月十八日掲載分)

見切り千両!! 大取り組み崩壊

手亡相場は暴落していくだろう。両建ては愚策である。反発の可能性はない。見切るところだ。

「ゆく春や屋根のうしろのはねつるべ 万太郎」

六〇㌔建て10円刻みといういまの穀物取引所を一㌔一円刻みにしようという案が、前にまとまりそうになった十㌔一円刻みのほうがよい―という案を押しのけそうである。

この場合、一円動くと四千円替えの勘定だから、なかなか柝が入らないという立ち会いの長引く事が心配されている。

十㌔建て刻み一円の線で決まるのかと思っていたがいろいろ立場があって、この種の改革が難儀だ。

相場のほうは依然として手亡が冴えない。

ピービーンズの格差を11月限から四千円にしようということから、それなら十月限がピービーンズの捨て場になる。従って九月限、十月限の手亡はピービーンズの重圧が加わり、手亡相場は逆ザヤになる可能性さえ強い。

いま建っている七、八月限は天災期限月だが、とりもなおさずピービーンズをヘッジされ、相場としては、先に行くほど楽しみがなくなるのだ。

ピービーンズの格差虐待は、手亡の買い方が言い出したことである。

結果的には自ら墓穴を掘ったことになった。

恐らく手亡相場は先限一万一千円台に崩れていくだろう。

いまの膨大な取り組みが相場の崩れに直面したならば、これは連続のS安であろう。

S安に直面すると手亡は投げ玉がはまらない怖さがある。

手亡が、なぜあのような大きな取り組みにふくれあがったか?といえば、他に理由はなにもない。

証拠金が安いから―だ。

単にそれだけのことで大衆が参加した。

証拠金が安いという事は、すぐに追い証がかかり、すぐに証拠金が飛ぶことである。

いうなら安もの買いの銭失いの見本みたいなものである。

ガタガタとくる。大衆買いはグラグラと動揺する。パラパラと投げてくる。あるいは両建てに走る。両建てにしても先に行っての楽しみがない相場であることが判らない。

いま手亡相場に言えることは見切り千両。新規売り充分間に合う。

S安してからでは遅すぎる相場だが、先限の一万三千円割れから売ってもまだ間に合うだろう。

●編集部註
得てして相場は仕掛けよりも仕切りが難しい。

取引判断は少ない事に越した事はなく、二度仕切り判断が求められる両建ては、相場巧者でない限りすべきではない。

【昭和五十年三月十七日小豆八月限大阪一万七〇一〇円・一九〇円安/東京一万七一二〇円・一七〇円安】