昭和の風林史(昭和五十年二月二八日掲載分)

基調依然強し 弱気無用の小豆

手亡相場は警戒されながらも基調は強い。小豆も八月限登場を期待。先は明るい相場だ。

「壷焼の壷傾きて火の崩れ 鳴雪」

手亡相場の高いところはピービーンズを売りつなごうとする動きがあるため、いまひとつ相場に楽しみがない。

ドル安、円高による輸入の有利さと、海外雑豆市況の軟調という背景が手亡の高値を警戒させる。

しかし一方では手亡の取り組みは増勢を続けこの大衆買いは、あなどることが出来ない。

考えてみれば三、四千㌧のミシガン・ピービーンズを輸入して相場を崩すという事は、小さな利益を得るため大きなリスクを背負う危険な商売である。

売り大手は、すでに安値を売って引かされている玉を救わんがため、いうなら救援隊を求める気持ちで輸入を急ごうとするのであろうが、市場が熱し人気が燃えだせば、少々の輸入などの焼け石に水。

いまのところまだ手亡相場は燃えるほどの機は熟していないかもしれないが、天災期の近づくにつれて、この大きな取り組みが売り方の脅威となろうし、現に相場そのものの見せる底意の強さは、相場する者にとって、無気味に感じる。

売り叩いて一体いくら下げる相場だろうか。

五百円?それとも七百円?そのあとはどうか。大量の売り玉の手仕舞いが出来る市場ではない。

そこのところを考えれば、息の長い投機戦略を建てて、決定的瞬間を待つ方法が近い勝ちかたと思う。

上値を追わず、押したところを静かに仕込む。手亡相場の基調は、きわめて健全である。

一方小豆相場も長い冬が終わり、虫あなより出づ。啓蟄(けいちつ)も近い。

すでに言われて久しい事だが本年の作付け面積大幅減少は絶対的成行きである。ただこれが直接相場を刺激しないのは、時期が早いのと、人気が小豆に寄っていないからで、いずれ投機の歯車が回転しだせば強烈な支援材料となる。

一月31日を頭にして二月21日まで斜め斜線帯を六月限で八百円強を下げた小豆の相場だが、千円棒は陽線のままである。

七千円割れの小豆は黙って仕込んでおけば必ずモノになる。

そして三月三日桃の節句発会に生まれる八月限。天候相場の波乱を秘めた神秘的限月が殺気を孕もう。

●編集部註

問題は「投機の歯車」がいつ回るかなのだ。

【昭和五十年二月二七日小豆七月限大阪一万七〇六〇円・一二〇円高/東京一万七一五〇円・一〇〇円高】