昭和の風林史(昭和五十年二月二五日掲載分)

強い基調続く 垂れ込みを買え

手亡の節足は押し目を入れたあとの高値更新の値段を買えば早い利食いが出来る姿になっている。

「春雨や奈良は昔の寺多き 鳴雪」

燃えるような人気で続騰していくという時期ではないが、着実に水準を高めていく手亡の相場だ。

高値にはピービーンズのつなぎが警戒され、押し目は来るべき天災期の思惑買いが介入する。

大衆は専業筋の強力な営業推進により、証拠金の手ごろな手亡に夢を託し新規買いも活発である。

手亡の先限引き継ぎ線は抜くに抜けなかった大きな節(ふし)である一万四千六百五十円(大阪)を一気に買い切って、相場の新しい幕あけを思わせた。

各限一代棒も四、五、六の各限月の四千円以下は、すべて売り方水つかりの状態。

いうなら安値取り組みである。この安値時代に手亡は大きく取り組んだため、買い玉の利食いも出るが、追証に攻められた売り玉の踏みも目立つ。

一本調子にはいかない春の相場だけに、ここを買わなければという強く見えたところは必ず売られ、だから深押しするかと思えば存外に強い。

筋店の強力な買い建ての目立つ四月限は五、六月限の上ザヤにあり、逆ザヤ売るべからずの相場になっている。

目先的には軽く押し目を入れるとしても、三月三日桃の節句が新ポの八月限登場となれば先限一万五千円台の動きとなり、市場人気は、さらに明るさを増すことになろう。

投機方針は天災期の七月限を虚仮(こけ)の一念で強気するところであろう。

手亡に人気を奪われ取組が減った小豆相場も、悪役の前二本のうちの当限が納会すれば、末端の荷の動きが活発になってくるシーズンだけに、改めて期近限月から見直され、また、八月限の生まれによって天災期いよいよ近しの感を深くする。

長期投機の大作戦は七月限七千円割れ買い方針。金融がゆるみ、景気が陽転すれば自から投機市場は活気を呈しよう。あわてる事はないが、下げるに下げようのない今の相場水準は買い玉を温存し、機の熟すのを待つことである。

昨年は二月いっぱいを上げ続け、三月安、四月二日底打ち後、上昇一路に転じた小豆だった。

●編集部註
 当時の罫線を見ると、この時買い方は一万七〇〇〇円という値位置に慣れ親しんでいる印象。

 なぁにたいした事ないと買って実際に上がる。

 しかしその上り坂が、次の魔坂の複線となる。

【昭和五十年二月二五日小豆七月限大阪一万六千九九〇円・一一〇円安/東京一万七千一三〇円・一三〇円安】