昭和の風林史(昭和五八年四月十五日掲載分)

2019年04月25日

小豆の客は入れ歯に老眼

輸大は交易会絡みで売られた安値をまた拾えばよい。ゴムは疲労の色更に濃し。

小豆のお客は入れ歯に老眼―というのだそうだ。『見てご覧なさい。若い人は小豆なんか見向きもしませんよ』と。これには少なからぬショックを受けた。

価格支配はオペック10年・ホクレン三(み)つき。総理(の人気)は二年、歌手一年。

薄商いで今のような相場が続いたあげく産地の現物がドサッとくれば、梅雨時分、二万六千円台もう一度取りにいくだろう。

作付け面積前年並みで、お天気もいわれたほど悪くない―となれば、修羅(比良)八荒(八講)の生き地獄。ホクレンは傘屋の丁稚小僧よ骨ばかり折った。

ゴムはロンドンS高の急反騰だが、国内定期の反応は以前に比べたら格段の違いでぬるい。

それだけ相場の若さが抜けていた。いわば相場様が老境に入っている。

ゴムの人気面は〝手首半〟に気味悪がっている割りに客筋は実によく売る。買い仕手に提灯がつかないところが気になる。
万人皆弱気の相場は下がらんというからだ。

しかし、今の大衆皆玄人である。そして資金パイプが長い。二八〇円よろしい売り上がります―という気構えである。

おそらくその方針が成功するだろう。

輸入大豆は大阪当限に現物雲集。これを受けて立つ秀頼四天王は重成、幸村、長曽我部盛親、後藤基次、落城悲劇の武将。

さりとて、渡ってくるもの受け切ってしまえばどうなる。大々的な煎れを取って完勝という業界事情ではない。そこが相場師の悩みである。受けて悪し、受けざれば更に悪し。進退将に谷まれりの姿。

連休明けは交易会に焦点絞る。成約少しできても人気で売られようが、先三本安いところ拾え。

●編集部註
 今は出演者の不祥事で容易に観る事が出来なくなってしまったが、数年前に放送された大河ドラマ「真田丸」がヒットしたおかげで、ここで登場する豊臣恩顧の浪人たちがどういう人物か、その後どうなったかは、むしろ今の方が理解できるのかも知れない。
 現在の東京一般大豆は商い薄く死に体になっているが、この頃の大豆相場はこの年の1月から9月まで、途中途中に修正安を挟みながらきれいな上昇トレンドを描いて行った。
 この時の日足を見ると偶然にも4月の値位置は一種の出城のように見える。差し詰め1983年の真田丸とでも形容すべき線形である。