昭和の風林史(昭和五八年十月一七日掲載分)

2019年11月05日

なぜ市場は閑になるのか

市場が現在どのような状況下にあるのかを、常に念頭に置いて相場を見ていくこと。

商品市場は相場が激しく動いたあとは、必らず商いが閑になるもので、これは先物市場の宿命というか仕組みである。

現在の日本の先物市場に流入している投機資金は精糖なら精糖、ゴムならゴムという庭に限られておらず、商品別、市場別の垣根がない。

投機資金は(1)相場の動きが大きいものに移動する。(2)しかも、証拠金額のより低いものに流れる。

それらの資金は回転がきつければきついほど手数料という自然消耗で全体量が加速度的に減額し、たえず市場に新しい投機資金を注入しなければ市場の機能は低下していく。

思惑に失敗した投機家は当然去っていき、利益した投機家と、新規の投機家と身動きつかないポジションにある辛抱組の、この三種類の資金がヘッジ玉と絡まって次なるショック(相場変動)に身をゆだねる。

従って、大消耗戦(大変動)のあとは、更に強力なインパクトを与えるだけの新規の資金が流入しなければ市場は低迷する。

また、そのためには、価格に刺激を与える材料が出現しなければならない。

中には利益した資金を市場から引き揚げてしまう投機家もいるが、多くは高値の買い玉、安値の売り玉、相場はその中間に浮遊している。

出来高が少ない。値付きが悪いというときは、たいがい以上のような背景のもとにある。

以上のような仕組みというか宿命下にあることを充分理解すれば、業界全体の取り組み高即ち資金の在庫量と、総出来高即ち資金の消耗量を掌握し、あとは投機のマインドの濃淡を計量化して、商品市場全般から個々の商品の環境(人気、証拠金、材料)を見くらべていけば、有力なる先見性が発揮できる。

●編集部註
 第一次世界大戦の西部戦線、塹壕の中を行きつ戻りつの総力戦のような光景が目に浮かぶような解説である。中では、スタンリーキューブリックの『突撃』で描かれたような世界が繰り広げられたのかも知れない。
 話は思い切り脱線するが、VFX技術の進歩のおかげで、ここ十数年意欲的な時代劇が作られるようになった。といっても日本の話ではなくハリウッドの話である。
 スピルバーグの『戦火の馬』、DCコミックを映画化した『ワンダーウーマン』、そして来年2月に公開する事が決定した『キングスマン』の三作目。そのどれもが物語の中心で第一次世界大戦が舞台となり、そこでは、この世の地獄の如き凄惨な戦闘シーンが描かれている。