昭和の風林史(昭和五八年十二月十二日掲載分)

2019年12月27日

強気にさせておいて斬る

小豆は堅いじゃないかと買う気にさせたあとが怖いように思う。今週安いと見る。

年末の人の心は区切りをつけたいものがあって、相場にしても口では玉に餅を食わすというが、利のあるものは利食いする。また新規仕掛けもよほど相場が判りやすければ別だが、敢えて難かしい動きに手を出さない。

だから市場は閑になり、薄商いをみて更に手が出せない。

小豆は戻すところはマバラの手口。出来高も小量だが、下げてくるとハナが大きくなり、出来高が増大する。いわゆる下げ賛成の手口である。

東西両市場とも地場筋の手が悪い。強気していて下げにぶつかり、今度は弱気して反発を迎え、いままた強気に転じたところ。

とめどなくチャブつく格好で、これも一種の餅つきの杵の動きかもしれない。

材料的には現物動向を中心に話を聞くと、相場は下がらないというふうに思うようだ。これ即ちファンダメンタリストの惚れた目で見りゃーである。

一方テクニカルではここは強気がふえたほうがよい。値頃観や現物比較で買う人が多いほどよろしい。

年内大きく崩れるためには春高期待感が強いほど面白いし、毎年一月は高いという統計的な面から買い気がつのればなお結構。

昨年もそのような空気だったが、暮も安い。一月に入って更に新安値に崩れた。

相場の呼吸からいうと今週から判りやすい下げ一本道に入るように思う。

いわゆる人の世と水の流れは―である。あした待たるる暴落パニック。

相場は当り屋につくより曲り屋に向えである。

そして相場は人気の裏を行く。今週は面白い下げが見られそうだ。

●編集部註
 この頃と今とで決定的な違いがあるとすれば、まちがいなく市場の空気であろう。
 米国では感謝祭が終わるとクリスマスまでホリデーシーズンに入る。昔の商品市場も米国の閑散市場に歩調を合わせて、大納会に向けて空気が緩んでいった印象がある。
 先般、取引所の方と酒場でお話しする機会があ ったのだが、そこでもこの空気の違いの話になり、確かにそうだよな、という事で落ち着いた。
 普段「何が何でも新規を取って来い」と鬼の形相で迫る上司も、心根まで鬼ではなかった。閑散化した年の暮れに新規契約が取れるわけもなく、ゆるゆると時間が流れ、大納会は半ドンで午後は酒飲んで鮨食って仕舞いだった。ただその席で、酒癖の悪い役員に絡まれ、ぶちキレた社員が辞表を提出。重い空気になった場に居合わせた事はある。