昭和の風林史(昭和五八年十二月十七日掲載分)

2020年01月11日

来週から師走奈落崩れへ

来週から攻守所をかえる流れに入るだろう。小豆は師走奈落崩し、大納会まで大荒れ。

麻雀のことは知らないがプロ中のプロだけで麻雀しているみたいな仕事師まじえての小豆相場だから厳しいですと言う。

当限の売り玉は踏まされていた。セミプロ級は15日の二、三月限を買っていた。東西取り組みは安値時より千枚ほどふえている。

先三本の売り玉は、どうという事もなかった。
今回相場の教訓は(1)玉を期近に回すな。(2)満玉張るべからず。(3)逆ザヤ売るは用心すべし。

先日、弁護士先生三十余名の会合の忘年会にご招待されたとき、パリパリの検事が法廷で満玉のことを〝まんだま〟と読んで一瞬ワッと笑いになり、格好がつかなくなったという話になったが、相場用語は難しい。

筒一杯の証拠金で逆境に立つと、天井圏内と知りつつ玉を切らねばならない。

守りは三倍の兵力を要するというのが兵法の定石であるが、相場の場合一に臨増し二に追証、その追証も一杯、二杯、三杯とくるから、孝行をしたい頃に親はなしと一緒で、天井を見つけた時に弾(タマ)はなし。
だいたいそのようなことで散っていく。

さて、来週21日頃から師走相場奈落崩れである。罫線がそういっていた。

人気指数もかなり強気がふえた。

要するに人為的、心理的需給締まりのスクイズ含みの煎れ相場で選挙が済めばロンからヤスに無理な注文がくる。46年六月参院選の直後に政府はグレープフルーツを自由化してしまった実績がある。

また外貨枠持っていて輸入を渋るIQ商社の枠の洗い直し運動や臨時枠早期発表。あるいは雑豆輸入関税大幅引き下げなど表面化しそうである。

大納会まで荒れに荒れて今年の小豆は暮れていくことであろう。

●編集部註
 〝まんだま〟とは面白い。
 兎角、テクニカルタームは難しい。「あずき」ではなく「しょうず」と読むのもこれに該当する。
 昔、コーヒーが上場された時、専門家と話をする際に生豆を「きまめ」と読んで強かに窘められた事がある。正しくは「なままめ」なのだとか。
 知らない事は決して恥ずかしい事ではない。そこで学べば良いのだから。それが教養というものだろう。恥ずかしいのは、知らない事を嘆き責めたり、知らなかった事に対し逆にキレて居直る事ではないかと考える。
 先日、ある凄惨な事件を起こした犯人のメモが公開された。そこで明確に漱石の「草枕」と解る引用を記者が見落としていたのではないか、という件で軽く炎上している。
 明治は遠くなりにけり。