昭和の風林史(昭和五八年十一月二日掲載分)

2019年11月20日

霜月小豆は崩れのコース

小豆は休日明けから下げが判りやすくなるだろう。輸大は弱気しないほうがよい。

高くなると買いたい。安くなると売りたい。もち合うと判らない。

これが相場社会の万人共通の心理状態である。

そして、高くなって買った玉、安くなって売った玉、決して儲けになっていない。しかし人々は高くならないと買わないし、安くならないと売らない。

さて小豆相場だが、人気が非常に強くなって、安値売り建ての読者から電話の数が急増する現象を見た。今までの経験で、悩み果て、困り果てた挙げ句のこの種の電話が急にふえたあたりは、一ツの転機、今でいうなら戻り限度。

だから人気のリトマス試験紙みたいなものだと思う。

現在、小豆相場に投機している人は、そのほとんどが相場の玄人である。玉は少量でも、そして年配のご婦人でも、十年、二十年小豆相場で取った、取られたの修羅場をくぐってきた小豆マニアである。

そして感心することは自分なりの相場哲学と資金配分を持っている。

それらの人とは違って、たまに、きわめて異質な人からの電話がある。ひと言ふた言で、この種の人は全身、実に嫌な気になって本当のところ悪寒(おかん)が走る。狡猾さと自分勝手の欲呆けさが手に取るようにわかるから、すぐに電話を切る。

さて相場だが、(1)人々が上値を絶対的確信をもって言うようになり、(2)出来高が増大し、(3)売り玉辛抱できずに追証切れの踏みが目立つと、両三日もすれば相場は反落に転ずる。

要するにできるだけ多くの人が高値掴みにならなければ、ドラマチックな下げにならないのである。

心すべきは安心買いと安心売りである。

新甫は今ひとつ迫力のない生まれだ。これで今月小豆の行き先が判った。

●編集部註
 〝高くなると買いたい。安くなると売りたい〟という所までは判る。実際に今も有効である。
 〝もち合うと判らない〟というのは現在少し変わっている。対面営業が減り、ネット売買が中心になって来ると判らなくなった挙句に「よせばいいのに、ついついしなくて良い行動をとってしまう」という言葉が加わっているのではないか。
 これは、筆者自身の経験則に基づいている。
 昔は顧客にあれこれ電話でお話ししていたのだが、いざ自分が相場と対峙すると、クリック一発で即アクションを起こすようになり、結構無駄の行動をとっていた事が後々判ってくるものだ。
 古参の強者はよく「買いは熟慮断行」「売りは断行熟慮」と言っていた。
 裏返せば、その逆をやる人が存外多い、という事なのだろう。