昭和の風林史(昭和五八年八月四日掲載分)

2019年08月26日

小豆はまだ六合目あたり

ホクレン頼み、お役所頼みで売った人が苦しい小豆。相場は相場に聞くしかないのに。

油断すると小豆の買い玉が取られてしまう。噴いたところ利食いして押したところ買う。

これの繰り返しがまだ効く。

予備枠とか大型枠とか色々いわれて適当に相場を抑えるから一気に値を出しきれない。これがかえって相場を骨太にし、スケールの大きなものにする。

売り方は罫線の安いところ、安いところを売って捕まっている。

買い仕手がいなくても全国の投機家は小は小なりにこの相場のストーリーを持っている。しかも力をつけてきた。

キリンも老ゆれば駑馬(のろい馬)となると中国人は言った。大手売り方玄人筋も七、八千丁騰げを一万丁打たれてくれば気力が萎える。

相場で一番怖いのはこの気力の萎えである。

十勝支庁は「異常低温対策会議」を設置する。

全道一日現在豆類生育状況(道農務部)は深刻なデータである。

三万五千円以上は緊急発券と噂されている。

緊急発券したほうがよいと思う。相場は一時的に押すだろうが、鬼でも蛇でも出てしまえば知ったらしまいで、押した幅の三倍返しという相場になろう。

市場は冷静そのものである。要するに売り方がつくっている騰げ相場であるから、エネルギーを燃焼するまでくすぶるわけだ。

考えてみると今回の小豆で逆境にある人達は、ホクレンにやられた格好だ。ホクレンを信じ過ぎたのである。いまやそのホクレンが定期市場で大変なことになっている。

これと似たようなことが農水省の緊急発券とか大型枠とか五千円以上は云々についてもいえよう。お役所を信じ過ぎて弱気をすると、またまたひどい目に逢う。

古来相場は相場に聞くしかないと教える。

●編集部註
 野暮な話になってしまうが、ここで登場するキリンは動物園にいるキリンではない。瓶ビールのラベルに描かれている方の〝麒麟〟。東京だと日本橋(にほんばしであって、にっぽんばしではない)の欄干に飾られているアレである。
 「キリン老ゆれば駑馬にも劣る」という言葉は、これ以降風林火山が好んで自身の著述によく用いる言葉となっていった。
 実際、ダイヤモンド社から2002年に刊行された「格言で学ぶ相場の哲学」の中にもこの言葉が登場し、「若い時は麒麟児といわれていた人でも、老いると駑馬=のろい馬にも差がつけられる」との注釈が加えられている。