昭和の風林史(昭和五八年九月十三日掲載分)

2019年10月03日

輸大燃え尽きるのを待つ

輸大の売りは今が最もきついところで、この苦痛忍べば、あとは下りの一本道。

米農務省が、どのような数字を発表するのか。きょう13日(日本時間)の朝まだ明けぬうちに、その数字を知るわけで、これはシカゴは場が引けたあと発表だから、劇的な数字発表ならアメリカから東京マーケットに玉が流れることもあろう。

穀取輸大は大商いが続いている。買い方は面白いように玉の回転が利いている。大量利食い→大量買い直し。売り玉は煎れ→ドテン買い。
人気は、いやがうえにも強い。それは真夏の太陽のようである。

このような時は弱気している側は黙って姿勢を低くしているだけである。

敢えて逆らわず。燃え尽きるのを待つ。

相場の人気というものはエネルギーを完全燃焼するまでは岩をも漂わす。

しかし燃え尽きてしまえば、どのような好材料(買い材料)が出現しても逆に安くなる。

弱気は、青い柿が熟すのを、ひたすら待つだけ。

流れが変わるところを見つけさえすればよいのだ。それはそう遠い先のこととは思えない。

大阪九限で千百円を安値から上げている。日柄ではこの月の中頃が一杯だ。

引き継ぎ足先限で六月1日四千九十円(東京)安値から約千五百円高。波動八波である。

売り方は今から最も苦しいところに直面すると思っておればよい。

それさえ耐え忍ぶ資力、気力さえあれば(シカゴ)三番天井打ちしたあとの相場は積水を千仭の谷に落とすが型である。

世の中は月にむら雲、花に風、三日見ぬ間の相場かなという。

小豆は産地のお天気心配のところで下げにくいが、だから上がるという力もない。買い目など全くない相場である。

●編集部註
 劣等生を東大に現役合格させる奮闘を描く『ドラゴン桜』や、最近映画化された『アルキメデスの大戦』など、これまでになかった視点で物語を進める事に定評のある三田紀房の作品に『インベスターZ』(講談社)という投資の世界を舞台にした物語がある。
 例えば、毎月の米雇用統計を祝祭と捉える。柳田国男でいう所の「ハレとケ」の「ハレ」の部分だ。
ファンダメンタル的には如何様にも理屈をつける事が出来るが、それでも理屈が通らない時が。これを「ハレ」の祝祭と考えると合点がいく。
 金融市場の祝祭が米雇用統計なら、穀物市場の祝祭は農務省発表であろう。この二つのデータは今も素通りできない。
 ただここ最近の東京穀物市場はこの発表に反応しない。何故だろう。