昭和の風林史(昭和五八年九月二六日掲載分)

2019年10月11日

輸大・売り方失神煎れ苛烈

売り方総懺悔。目もくらみ失神する苛烈な輸大相場。総踏み済めば反落コース。

シカゴ大豆張り付きS高を映して輸大も二日続きのS高。

売り玉総煎れの様相。

シカゴはもう一発S高ありと予想されての穀取三連休。

市場では六千円地相場の声に確信みなぎる。

買い方は鍬で味噌掘るように楽して儲かった。

ともあれ利食い。そして押したらまた買うという態勢。シカゴ12~13㌦必至という予測が手口に自信をもたらしている。

22日は穀取三市場揃って延刻。大出来高だった。

弱気売り方は憤死した。風蕭々として易水寒し。壮士ひとたび去ってまた帰らず。

一月安値からだと七割高に手のとどく穀取輸大だ。六月新甫安値からでも四割高のあたり。

三割高に向かえという金泉録もシカゴ狂乱には通用しないみたいだが、三割高から三位の伝(本間宗久)売り玉追証二ツ目で買い玉仕舞いにかかり三回目の追証がかかるあたりで全玉利食いして四ツ転ず(ドテン売りに回る)が実行できる人などほとんどいない。

輸大で三百丁逆にいかれたらこれ大曲り。第一線セールス現場では飯のくいあげになる。それが五百丁、七百丁となったら大曲りのこんこんちきで、なにをかいわんや。

失意のとき泰然たりとはいえ気が萎えて、うしろ姿の肩が落ちている。

まあそれも相場。勝敗は兵家の常である。逆境の時は危きに逢わば須らく棄つべしで離脱するか、死んだふりで流れ変化まで苦い肝をなめ堅い薪の上に臥す〝お辛〟で燃え尽くすのを待つかだ。相場の天井近くは売り方、失神めもくらむ苛烈なものである。

●編集部註
 この文章、最後のくだりは故事成語の「臥薪嘗胆」の由来について書かれている。
 紀元前、いまなら漫画の「キングダム」で出て来る秦の王様が後々に統一王朝となり始皇帝を名乗るはるか昔の春秋時代。薪に臥して嘗めた肝は何の肝であったのだろう。
 冷蔵技術など存在しないから、塩漬けか干したものだろう。
 明治書院という出版社がある。この会社の目玉商品が「新釈漢文大系」。全120巻で1960年に第一巻の「論語」が刊行され、実はまだ完結せず、刊行が続いているのだとか。更に「孫子」は刊行中の1970年代に新たな文献が発見され、再編集を余儀なくされる等、逸話が多い本である。
 調べた所、李白・杜甫などの中国古典文学を発行して、2024年5月に完結するのだとか。
 昔、風林火山の本棚の整理を手伝った時、この全集の一部が何冊かあった事をよく覚えている。