昭和の風林史(昭和五九年二月十五日掲載分)

2020年03月09日

ピンで五〇万の崩れかな

大穀輸大当限はピンで50万円の下げだった。相場にロマンと悲劇ありの図である。

シカゴ大豆が七㌦を割って穀取相場はパニックだった。

買い玉のほとんどは両建で緊急避難の格好であるが、両建の売りを利食いして、高値の買い玉はそのままである。

売りをはずすと、また安いから再度売りを建てる。

一体どのあたりまで下げるのかと、頭をかかえるが、値頃観通用せずの修羅八荒生き地獄だ。

東穀のIOM別建市場が開設されるまでに商社が儲けるだけ儲けておこうとしているのだ―ともいう。

あるいはIOM別建市場で付く値段は三千八、九百円あたりになろうから比較観で売り余地ありともいう。

シカゴが弱気目標の水準にとどいた。そして関心は今年度の作付け面積の予想に集まる。

大穀二月限の高値が五七四〇円(9月22日)。うかうかしていたらピンで50万円の値ザヤである。

高値を買って、しびれたままの玉はあっても、高値を売って未だ利食いせぬという人がいたら、これはもう相場の達人の境を通り越して相場の仙人である。

小豆は下げてみたけれど堅い。

相場の疲れは判るのであるが北京商談の推移(銘柄、価格、数量、積期等)を見なければ動けず、次期枠に絡んだ役所の作業も関心の的である。

期近逆ザヤで春の需要期を迎えることも、やはり相場に近寄り難いものをただよわせ、あわてる事もあるまい、相場は年中あるのだから―と傍観者が多い。

思うのであるが、余程相場好きな人か、かなり儲けてきた人でない限り、どの商品といわず今は難かしいところである。

銀も一気に九円幅を上げたが半値押しの71円あたりから三分の二押しの69円50がないとはいえない線型に入っている。はしゃぎ過ぎの反省場面だろうか。

●編集部註
 先ずは今回、下に掲載している83年の師走から84年の春頃にかけてのシカゴ大豆期近の日足をご覧戴きたい。
 引け値7㌦(700㌣)割れの場面は、83年の前半でこの2営業日のみ。ここから反騰した相場は14週間後の5月21日、9㌦まであと一文手前の所(899㌣)まで上昇。つまり、今回の記述時期は〝緊急避難〟の両建て売りが地獄絵図となる瞬間であったと言える。
 シカゴの動きからピンで50万の売り相場―と同じような光景を、我々は最近目の当たりにした。2月5日の東京金先限の安値は5450円。25日の高値は5913円。ピンで46万3千円の買い相場である。ただ、これはあくまで机上の空論。現実はそんなに甘くない。