昭和の風林史(昭和五九年二月二七日掲載分)

2020年03月19日

これからの“商品業界”

ほとほと小豆にあいそがつきた―という昨今の商品界である。やはり時代の流れか。

お金の流れが、なにに向かうか―というこの一点をたえず見ていなければならない。

今年は貴金属の相場が本命中の本命でないかと注目している人が多い。

『お金儲けは人の集まるところにしかない』という言葉がある。

人の集まるところとは、さしづめ人気のある市場だし、出来高の多い市場といってもよい。取り組みに厚みのある商品でもある。

『お金の集まるところにしか、お金儲けはない』。

その意味から目下のところ銀の市場に対する関心が期待感を含めて非常に高い。来月からようやく前場二節、後場二節の立ち会いになる。取り組みも将来東穀の輸大並みにふくれ上がるだろう。

ただ残念なことには取引員の数が少ないのと、金・銀・白金を扱える支店の数がしぼられていて、穀物のように手近でないこと。貴金属市場が人気を集めるほどにお客さんも、セールスも移動を開始したいだろうか。

そのためにも輸入大豆市場を大切にしなければならない。

しかし東穀のIOM大豆の別建市場やセット売買などユニークな制度が定着していくと他の穀取輸大市場に、かなりの影響をもたらす。また、東繊取や東ゴム東京金取の統合で東京コモディティの存在がアジアにおける先物機能の殿堂として脚光を浴びれば、ローカル市場は淋れ行く街になりかねない。

この辺のことを各穀物取引所も取引員も考えなければならない段階にきている。投機家も市場利用者(ヘッジャー)も寂れた市場には近寄らない。

●編集部註
 このような主張を、バブル前の1984年にしていた、という点に筆者は敬意を表したい。
 結局のところ、その後のバブルに浮かれ、バブル崩壊後に沈み、パリジウムバブルや金の上昇を嚆矢として再度浮き上がる事も出来ず、この警鐘を真剣に受け止める事なく、ましてや危機感をもって行動する事もなかったために、日本の商品市場は〝オワコン〟となってしまったのが現状だ。
 監督官庁は相場に愛のない事なかれ主義の指導ばかりで、現場の一兵卒はただただお客様に書いてもらう書類だけが増えていく。こんなに書くならと、資金はCFDやビットコインへと流れ、更に〝オワコン〟化は進む。
 もう、日本はアジアの一等国ではない。今後、アジアにおける先物機能の殿堂として世界で脚光を浴びる事になるのは、提出書類山積みの日本ではなく、シンガポールか中国。下手すると韓国にさえ追い抜かれるだろう。