昭和の風林史(昭和五九年三月八日掲載分)

2020年04月02日

投機家は“難解”に挑戦する

難解と変動の激しさの扉をあける鍵さえ握ればそのむこう側に巨大利益が待っている。

ドル安に歯止めがかからぬ以上、銀も輸入大豆もゴム、粗糖の海外関連銘柄は円高分だけ値を下げる。

為替相場は、それら個々の商品価格の土台になるものだけに、為替予測と個々銘柄のファンダメンタルとを組み合わせて予想しなければならず、相場の複雑性を増幅させ、円は二一〇円→二〇〇円に向かうという一般予想からいえば個々の商品の下値を考えておかねばならない。

相場社会で昔からいわれている『放れたほうにつけ』、あるいは『相場は勢い(流れ)につけ』の真理からいえば、今の円高は新しい相場であり、しかも新値抜け(58年1月11日高値二二七・20)を、あっさり買い切った以上は、押し目(円安)を入れても、円の強い基調は続くとみなければならない。

円のその前の高値は56年12月1日二一三・90だった。そこから週間足48本の下げ(六四・60)で57年10月29日を大安値に週足10本で五一円30幅を反騰。

以来60週を、ほぼ横に這うボックス圏の推移だった。

この間、商品相場は為替に関しては、泰平の時代でもあった。

それにしても数ヵ月前からドル暴落説が囁かれ、NY株式の値崩れの中にあって金鉱株がチューリッヒの銀行筋に買われ、ゴールド現物の上昇以前に金鉱株が先見性を発揮し、シカゴ・コモディティ(商品)も“帰ってきた投機資金”が貴金属、コーン、大豆に姿を見せるようになった。

しかし日本のほうはようやく新規投機資金が雪解け(厳寒でセールス活動も鈍っていた)と共に流入しようとしていた出鼻を為替で叩かれ、春なお遠しという場面である。

『さて』と誰もが言う。『難解な場面だ』と。しかしこの難解が解けさえすれば大儲けがある。

●編集部註
 令和に生きる我々は、1985~1987年にかけてプラザ合意に伴う大円高時代がやって来る事を知っている。ただ、マーケットに生きる人間、とりわけ先物市場に生きる人間は、より早く考えてより早く動く癖がついている。映画「マネーショート」の原作「世紀の空売り」の主要人物たちもその人種である。
 ただ、動くのも早い分、最初は負けに負け続ける。映画の中盤シーンではクリスチャン・ベール演じる主人公が米国金融市場崩落を見込んだ売り玉を仕込み続け、膨らむ含み損に金主からも総攻撃を受け、 四面楚歌の中、自宅の防音室で咆哮する。
 所謂〝ガラ〟は突然やって来る。当時のドル指数の動きを見ないまでも、我々はつい最近その〝ガラ〟を体感している。