昭和の風林史(昭和五九年一月五日掲載分)

2020年01月26日

今年は大荒れの年である

謹賀新年。去年(こぞ)今年貫く棒の如きものと高浜虚子の句のようによろしく。

一九八四年はイクハヨ。59年はイク。一体どこへ行く年なのかと考える。

行くといえば上に行くのに決まってる―と強気。弱気は下に行くと思う。

小豆は頭から二本陰線かぶせて大納会した。

大発会は輸大S安。小豆も崩れ気味の荒れよう。

思うのであるが、相場は〔値頃見るより日柄見よ〕だと思う。

シカゴ大豆の罫線にしても、まったくその通りの越年になった。

シカゴ大豆が天井した時分(九月)、こちらの小豆は(九月)仲秋名月に天災期相場の底を打った。

それからというもの前に回ると出世した。逆ザヤ、また逆ザヤで売り方は難儀道である。

相場の世界に〔逆ザヤ売るべからず〕という言葉がある。まさしくそれを絵に書いた小豆だった。

今年は六甲伝でいう九月甲の年。九月甲は陰の甲より陽の甲に移る年だ。

一陽来復。年間高下荒く保合うことなし―とある。

要するに相場大荒れの年というわけだ。

小豆にしても大暴落したあとV字型に切り返して暴騰する年になろう。

昭和に入って九のつく年の東北、北海道は冷害の多い年でもある。

そのことを頭の中に入れておかなければならない。

もう一ツ。今年は、満玉(まんぎょく)張るなという事を心がけていただきたい。

去年の暮の小豆売りの追証が払えず憤死した人は、手一杯、筒一杯の玉を張ったからにほかならない。

それと、玉を前に回すべからずである。

今年は高下の動きが非常にきつい年に当たるからよくよくその事を心に刻んでほしいと思う。

それでは本年もまたよろしくご愛読、ご指導のほどお願いします。

●編集部註
 相場とは関係ないがが、1980年代は「カルチャー」が「軽チャー」となり、知識や教養がスノビズムの道具となり始めた時代なのかもしれない。その流れが、現在の日本では反知性主義の源流になっている節がある。
 言い換えるとそれは、この頃のスノビズムに乗り切れなかったルサンチマンかもしれない。当節ネットで極端にリベラルや左翼を嫌う多くのユーザーの声からそう考える。
 1984年は、こうしたスノビズムと後のルサンチマンに影響を与える2つの本、浅田彰の「構造と力」と中沢新一の「チベットのモーツアルト」が出版された年だ。哲学書と宗教書がこの年のベストセラーだったのだよ、と令和の新成人に言っても、恐らく信じてもらえないのではないか。