昭和の風林史(昭和五七年二月四日掲載分)

2018年02月19日

シンドイ相場をテコ入れ

買い方は気が持てんから煽るのである。あんなのは相手にせんでよい。相場はシンドイ。

北海道小豆の作付け増反運動を官民あげて展開している時に、役所としては雑豆の自由化には大反対である。

だが、日本の政府は外国からの圧力に弱い。

そして日本には小の虫を殺して大の虫を生かすという論法がある。

小豆の生産者には気の毒だが、日本の国家存立のためには、自由化やむを得ずということは、政治の世界で日常茶飯事。これが通るのである。

勿論、生産者団体は必死で阻止するだろう。

だが実需者側は、もろ手を挙げて賛成する。

IQホルダーが、与えられている特権で暴利をむさぼっているだけならまだしも輸入業務をおろそかにして逆に定期相場を買うということ自体、世の中ひっくり返っている。これはIQ制度の悪用でしかない。

自由化は一朝一夕にいかないかもしれないというのが今の常識だが、レベルの高いところでの判断だけに、今後いつ抜き打ちでくるか判らない。

その時、相場はパニックである。

もう一ツ、次期枠の問題に絡んで、時が時だけに輸入枠の絞り込みは難かしかろう。北海小豆は五万五千円台で、これは生産者にとって文句のない値段。

今年の作付け面積三万㌶を割るようなら、これはもう決定的、自由化である―と、その筋は見ている。自由化問題は作付けを見てからになろう。

相場のほうは今の買い大手、高くなっても逃げられんし、安くなっても買わねばならない宿命みたいなものを持っている。

煽りの手に腹を立てる人もいるが、あんなのはほっておけばよい。墓穴を掘るだけだ。
要は踏まされんように疲れた相場を売っていく。真空落としがくるはずだ。

●編集部註
 先般『マネーショート』という映画の話をしたが、未見の人は是非ご覧になると良い。語られている内容は全く違うが、ここで積み重ねられているロジックと映画の冒頭でクリスチャン・ベールが演じるトレーダが積み重ねているロジックが構造的に非常に似ているのだ。

 先般、風林火山は冒頭でこう述べた〝相場は怖いところを売らなければ取れん〟。かのウォーレン・バフェットもこう言っている「恐怖の時こそ欲を出せ」と。これは大相場師共通のメソッドである。別の大相場師は「利食いたい時こそ乗せろ」という名言を残している。
 恐らく、この時買い方は上記の文章を「また風林火山が言ってらぁ」とニヤニヤしながら読んでいた市場参加者は結構いたのではないか。数年前、我慢に我慢を重ねた上に白旗を掲げて、本当に紙面を空白にして真っ白にした前例があるからだ。

 別の相場巧者が筆者に語った言葉を思い出す「百人中唯一人売りと思った時の売りが一番儲かる」。